かーびぃのメモ帳

球体の生物が日々感じたことをつぶやくよ!

意識にもそのうち格差ができるはずだ

 

 どうもかーびぃです。最近全体的に文章に全力投球しすぎて本業がオワコンです。まあ本業なのか副業なのかもうわからんね。

 

 アジカンことASIAN KUNG-FU GENERATIONというバンドがある。なにをいまさら、と思う人が多いのは、きっとこのブログを見てアウトプットを投げ飛ばしてくれるのがぼくらと同じ世代(具体的に言えば、80年代後半から90年代前半生まれ)ばかりだからかもしれないが、世の中においてアジカンはまだまだ(音楽バンドでは十分メジャーだろうけれど、単純な知名度という意味で)マイナーなのだ。そこらへんのおっさんを捕まえてアジカンを知っているかどうか聞いてみるといい。50代後半(ぼくらの親が多く所属している世代だろう……)を除けば知っているほうが明らかに少ないはずだ。

 このバンドで最も有名な曲といえば、ファンでは諸説あるかもしれないが、ファンでも何でもないぼくからしてみれば「リライト」以外の選択肢がない。それは、当然ながら、少年ガンガンで歴史的なヒットを記録した(おそらくそのはずである)「鋼の錬金術師」のアニメ「無印版」(マスタングの声が大川さんのほう)のオープニング2曲目(だったっけ?)であるからに他ならない。おそらくカラオケの歌われているアニソンランキングではかなりの上位にあるはずだ。「メリッサ」に負ける? まあ、それはいっちゃいかん。

 この曲のサビといえば「消してーーーーーーーー!!!!!!!!!リライトしてーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」という絶叫と何言ってんだかよくわかんない概念的な歌詞との組み合わせで、真面目に正しくアクセントをつけようとするとそこそこ難しいのだがみんなそんな面倒なことは考えずに歌うことでおなじみである。

 ぼくがなぜ、この曲をマクラに選んだのか、それはわかる人にしかわからないし、どころかおそらくわかってくれる人などいないのかもしれないし、かといって説明しようとするとそれこそ1記事レベルではなく数十ページの小説が出来上がってしまうので割愛する。たぶんフェルマーの最終定理よりは簡単だろうとは思うのでみんなチャレンジしてみてほしい。おそらく理解可能な人は最大で3人だろうとも思う。それでもぼくはこの本のマクラとして熟慮に熟慮を重ね、重ねすぎてしまった結果「リライト」を選んだ、ということだけ記しておきたい。ちなみに「ループ&ループ」とものすごく迷った、とだけ意味のない蛇足を付け加えておく。どっちもアジカンじゃねえか。

 

 つーか何も語ってねえじゃねえか。

 

 というわけで、2位に10点以上の大差をつけ、ぶっちぎりでシーズン1位を獲得し、おそらく到底破られることはないであろう不倒点として君臨し続けそうな予感のある、この本についての批評を始めたいと思う。

 「ファントム・パラノイア」著:咲祈(モラトリアムシェルタ)

(評点 通読性:14、宇宙感:24、残響度:21、嗜好:9、闇度:A 合計75点)

 ぼくがここ最近でもっとも注目している書き手、咲祈さんの最新作だ。新刊には間に合わなかったが、今回ようやく手に入れることとなったので読んでみた。

 総論としては、今回75という非常な高評点をつけることになったが、本来であればおそらくもっと高くつけていただろうと思った。しかし、今後出てくる同人誌(咲祈さんの次回作等も含め)を読んだ際に、評点が寸詰まりになる可能性がある点、今回がこの評点方式で批評をする最初のシーズンであるという点を鑑み、最終的にこの点数となった。この作品は現状、ぼくが読んだ彼女の作品ではトップである。それは紛れもない事実だ。当然、ぼくのことだから、今までの作品を同様の基準で評価した場合に、60点台後半や70点超えなどの高評点をつける可能性は大いにあるが、現状この作品こそが、彼女の最高傑作であろうことは揺るがない。少なくとも、ぼくの中においては。

 さて、批評を続けよう。

 人工人間が労働力として使用されるようになった世界での出来事を描いた、連作短編形式の小説群である。人工人間といっても、アンドロイドのような無機的なものではなく、工業的に養殖が可能になった正真正銘の人間で、人工的に自我にかかわる意識を形成されないように細工がされていることを除けば生身の人間とほとんど変わらない。管理が可能になった人間、制度のもと、残虐性を極力に控えられた奴隷というと、すこし語弊があるのかもしれないが、そういう解釈もとりうるような描き方がなされている。彼らは「オルタナ」と呼ばれ、文字通り「シヴィタス」と呼ばれる市民の代用として生きる。単純な労働力だけでなく、愛玩用はおろか、人間としての「素材」としても利用されている、まさに究極の奴隷である。なお、この作品のタイトルは、究極の奴隷として精密に製造されていた「オルタナ」たちがかかる流行り病のことを指している。それ以上のことは重大なネタバレになってしまうのでここでは言及を避ける。

 物語は、ひとりの歪んだ意思を持つ科学者を軸に、それを取り巻く「オルタナ」たちを主な視点として進行していく。この世界を快く思っていなく、また自らの家族に常軌を逸した干渉を試みている、知識人が物語の中心となるところは、先日批評した「空人の國」との大きな共通点であり、強い意志ーー心を持たない「オルタナ」も「空人」の転換的な比喩である。この2作の間の共通点はかなり多いが、主に前述した点によるところが最も作中に影響していると思われる。逆に、この2作を比較して最も異なる部分は、主人公ともいえる、この中心人物の意志が、既存の世界において破滅に向かっているか、創生に向かっているかという部分と、それに起因する彼らの末路の大きな差である。ひとことに末路といっても解釈のしようによっていくらでも主観的な見方が可能なので、なんともいえないが、ぼくにとっては今作と「空人の國」でたどった彼らの軌跡を描くこと自体が、咲祈さん本人が持つ、信念に近い何かを確実に体現しつつあること自体が素晴らしいと思うのと、その何かに徐々に近づいていく彼女をみて、どこか切ないような、恐ろしいような寒気を感じるのである。

 ちなみに、彼女の詩的でありつつも切れ味の鋭い刀のような文体は今回も健在で、今作においては耽美さにさらに磨きがかかっており、実用品としてよりも美術品としての価値が強くなった飾りの多い日本刀のような、煌びやかでありながらどこか空虚な雰囲気を帯びた鮮やかさがそこにあった。知的でありながら高度に感情的であるこの文体は、極めて微細な調整まで施された緻密さを持ち、繊細にして大胆な筆致で、己の置かれた世界で、その1ピースとして正確に等身大に生きていく人間たちと、それを支える、人間ではない何かについて描いていく。その性とすら呼べうる独特の文体は、もはやひとつの様式にすらなりえるほどに確立されているように感じる。(それゆえに、人を分けうると考えたため、通読性の評点を控えめにした)

 ぼくはこの人を勝手に創作活動上の師と仰いでいるところがあるのだが、その主な理由は、描き出す世界観と文体とを一致させるセンスのようなものと、1ページ1ページに埋め込まれた情報量の多さによるもの、そして最終的に描き出したい概念にどこか似たようなものを感じる点である。これからも、勝手ながら師として仰がせていただき、ぼくの創作に得られるものは得ていきたいと考えている次第だ。

 なので今後も新刊があれば絶対にもらいに行きたいと思いますのでよろしくお願いします。

 

 熱量が前回の比じゃない。それもう一番言われてるから。

 とはいっても先回の茶柱エクストリームさんのやつだって相当すごかったですからね。この作品がなければシーズン優勝はほぼ確くらいの点数とってたんだから。

 

 とまあ、そんな感じで。