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かーびぃのメモ帳

球体の生物が日々感じたことをつぶやくよ!

手落ちの人間にホスピタリティを用意することを批判する人の「手落ち」感

 どうもかーびぃです。

 

 文学フリマ東京が迫ってきたので、新しい試みとして、頒布予定の自作についてひとつひとつ解説していこうと思う。新刊もないのに今更、とは思うかもしれないが、なんか新しいこと、プラスこの1日でできること、というのでまあこれくらいだろうなあ、という感じでやってみようと。

 

 そもそもぼくは、お品書きを書くことが非常に苦手である。紙1枚で収まるような情報量で頒布物の紹介が出来たら小説など書かないし、ブログだってしなくて済むだろう。単純にぼくはそういう思考形態なのだ。まして絵や写真の配置なんかを置くのがそもそもできないタイプなので、華やかなお品書きを書いているサークルを見るとうらやましいと思う。まんまる書房ではデザイナーを募集しています。

 

 さて、さっそく。

 イ-69まんまる書房では、短編集2つ+α、長編3冊を頒布いたします。

 以下、短編集から簡単な解説。

「妄想の中でグローリーガールが宙に浮くから僕は彼女が好きすぎてたまらないんだけどいまだにそれを認められずに書きためた手紙をかき集めて作った表層をなぞるだけの指数関数、もしくは世界が滅びるまでのわずかな間に残された一縷の希望」(文庫116頁 500円)

 問題作。もとい、あらゆる意味でぼくが素のままで書いた短編が満載の作品集。というのも、この小説集は、当時一週間更新縛りというものをやっていて、一週間ほぼほぼ即興で作っていたものを新たに改稿したり、再構成したものをまとめたものだからである。このタイトルの長さは攻め、というよりもぼく自身の創作スタイルから考えるとある意味必然であり、これが最後の表題作になり、概念的ファンタジーとしてハイブリッドな世界観を醸し出しているというのは「ごうがふかいな」であるといえると思う。

 9編の短編は、読まれた感想を拝見するかぎり、ぼく自身の素の文体に対するものと酷似している。すなわちとらえどころのなさと煙に巻くうさん臭さが満載らしいのだが、当の本人はそんなことを露ほども思っていないという差異があって、それが社会を生きづらくしている(こういう煙の巻き方のことを言ってるんだろうな、とはなんとなく思う)。

 ともかく、この作品集の力点は巻頭作の「底辺列車」にあることは明白であり、巻頭作の虚実織り交ざる風景が表題作につながっているわけで、そこまでの7作は連携しているようでまったくしていない。ぼく自身の都合で紙面に追加しただけの話で、ある意味別個ともいえる。

 ということで、サンプルとしては巻頭作の「底辺列車」を載せておきます。

www.pixiv.net

 幻想的ロードストーリー、というジャンル名が付いているが正しくそのとおりで、みんな大好きサブカル系女子大生がローカル電車に乗りながらひたすら周囲に呪詛を吐きまくっているスタイルの、のちにかーびぃ氏の攻め玉のひとつになるジャンルである。

 これ以外にも、キノの旅のパロディとして書いた「工場と科学者」や、最初から最後まで鬱っていうダウナードラッグ掌編「飛べないカモメ」なんかがオススメどころ。

 ひざのうらはやおのナンセンスとマイナスに振り切れた詩的感覚を楽しみたい方におすすめです。

 

「順列からの解放」(文庫112頁 500円)

 先ほどの「妄想(略)」とはうってかわってシンプルなタイトルで、テーマ設定もシンプルだ。表題作を含め5作すべてが「順列からの解放」をモチーフにしている。スチームパンク的な世界観をもとにした「夜更けに咲く灰色の花」、そりゃたいへんだ。で構築された私立しまりすが丘学園を舞台にしたスクールファンタジー「ナイフエッジ・タンジェントセオリー(フリースタイル・エディション)」、ハイファンタジーの雰囲気で巫女と修行僧の交流を描いた「空葬の森」、概念的に進行する統一思念との闘いを描くSF「順列からの解放」、そして、職場を追い出された不良社会人と、援助交際の相手を探している不良女子高生のボーイ・ミーツ・ガールで展開される「春なのに工事中」と、いずれもばらばらなジャンルから同一のテーマについて書かれている。全体から漂うけだるげな雰囲気はいかにもひざのうらはやおという感じであるが(たぶん)、全体的に煙に巻くような無理やりな展開は避けてあるように思うので、「妄想(略)」よりはかなり読みやすいのではないかと思うし、あらゆる意味でひざのうらはやお入門という感じなので、最近では「ひざのうらはやお入門」ということで初めてブースに来た人にお勧めしている。逆に言えばコアなかーびぃファンには物足りないのかもしれない。個人的には巻頭作の「夜更けに咲く灰色の花」がそれなりにいい雰囲気だったのと、できればもう少し長めに書きたかったので改稿する機会をうかがっているのとで半々で、しかしこの短編集に関してはこれが一番わかりやすいので掲載する。

www.pixiv.net

 

 つづいて、長編の紹介。

 

「The magic nightmare ~reunion~」(文庫542頁 800円)

 これもまた非常に説明するのが面倒な小説だ。ファンタジーかと言われればまあそうだろうと答えるしかないし、私小説と聞かれると確かにそういう側面もあるっちゃあるし、なんだこれ、なんなんだろうなこれ、みたいな感じ。

 とはいっても主人公の真中浮人(まなか ふひと)くんはべつにぼくの分身でもなんでもない。どちらかというとぼくを理想化したようなキャラクターとも言える。どんな困難にも立ち向かい、文句を言いながらも仕事をやりつづけ、言い寄ってきた女性はむげにしないし、背が低いことと口が悪いことを除けばかなりのイケメンなのだが、それを武器にするどころか逆にいけてない部分でバランスを取ろうとする不思議な謙虚さを持っている。彼はそんな男だ。そしていつもパーカーとジーンズというラフな恰好をし、喫煙所で平然と煙草をふかす。しかし、さしたる特殊能力は、この時点ではとくに目覚めていない。そんな彼の大学生時代の話である。

 自身の失態で最愛の幼馴染が姿を消してしまうことに気づいた彼は、大学周辺に発生する怪異を解決していくことで、再び彼女をこの世界に取り戻そうとしていたのだが……という話である。このあらすじからもわかるように、本来は前編となる小説が存在する「てい」で、この話は始まっている。書くか書かないかはかーびぃ氏の気分次第だ。たぶん書かないと思う。文章にするのが異常にめんどくさいシナリオだし、だからこそこの部分から書き始めたのだから。

 6つの中編を合わせた小説となっているので、上巻にして14万字を超える分量となったこの作品だが、一応は完結している。つづきが気になったら下巻をてにとるでもいいし、セットでお買い上げいただくと頒布価格を値下げするサービスがあるので両方とってしまうのも手。

 

「The magic nightmare~GENOCIDE~」(文庫224頁 700円)

 上記の作品の後半部分。とはいっても、字数はせいぜい6万字弱で、あわせて20万字程度だと思われる。前編とはうってかわってシリアスな展開が目白押しなので、実質異なる小説ととることもできる。眞鍋陽子がどんどんヒロイン的な立場になっているのだけれどこの小説はそもそもヒロインが不在なのだ。不在のヒロインを一生懸命サブヒロイン3名が埋めている、というのが正しい見方である。

 そんなことはどうでもよくて、最終的には世界が滅びます。そしてだいたいの登場人物が死にます。という感じの話です。

 ちなみに、この上下編に関してはカクヨムでほぼほぼ全編掲載されている。都合によりカクヨム版は一部が改稿されているが、おそらく紙面版と読んだ印象はほとんど変わらないものと思われる。存分に読んでほしい。

kakuyomu.jp

kakuyomu.jp

 ぼくとしては、あの本の形に落とし込んでどこでも読めることそのものに価値があると思っているので、小説の無料掲載化に関してはある程度はやるべきかなと思っている。それで面白ければ新作でもその作品の収録作でも買ってみればいいわけで。

 

「V ~requiem~」(文庫250頁 700円)

 これがひざのうらはやおの最新作であり久々の長編でもある。このメモ帳でも何度か話をしたことがあると思う。自分の中の好きなモチーフを全部投げつつ、それなりに読者に読ませられるような工夫をほどこした自信作のつもりなのだが、印刷に手違いが出たり、新刊時にはほぼほぼはけなかったりとなかなかくせのある本でもある。

 いや、だってよくないですか、黒髪ロング一重まぶた微乳お嬢様系女子がめっちゃ長い剣をぶんぶん振り回してドラゴンをぶった斬ってくんですよ。しかも彼女は最強でもなんでもなくて、ただほかのひとより無理をしているだけで、本当はそんなに殺してない人たちのほうが強いとかめっちゃよくないですかこういうの。でなんか健闘空しくみんな死んでいく中での最後の動乱とか希望とかよくないですか。

 っていう感じでもう好きなものを詰め込みすぎて文章がどうにかなってしまっているのがこの小説です。フューチャーファンタジーかなあ。個人的にはなんとなく師匠(とかってに呼んでる)の小説に感化された部分が微妙に入ってて自分がいかに影響されやすい揺らぎの存在なのかというので反省しているんですけど、そこ含めてすごくきれいです。ひざのうらはやお史上もっとも綺麗な物語なんじゃねえのかなこれ。そう思います。

 ちなみに初稿版をカクヨムに掲載していますが、同人誌版はこれを大幅に改稿していますのでご注意ください。結構変な部分が加筆されています。

 さんざんリンク張ってるしもはや別物となってしまったのであえてリンクは張らない。

 

 ということで、我ながらガチな感じで書いてしまったが、いかがでしょうか。

 あんまり感想を言われた経験がないんですけど、そりゃそうだよなあってちょっと思った。だってこれ説明しづらいもん。これに感想そえるのめっちゃ大変だわ。

 ということで、おそらく次の記事から文フリ東京シーズンだと思いますので、そちらもなにとぞよろしくお願いします。