かーびぃのメモ帳

球体の生物が日々感じたことをつぶやくよ!

自動送信のメールに罵詈雑言で返信するジェネリック高齢者の鑑

 どうもかーびぃです。今日中にシーズンレースは終わらせたい。なんとなく。

 

 さて、改めて。

 文学フリマなどの同人誌即売会に出展する場合、ぼくはそこで手に入れたもの(いわゆる戦利品というものだ)について、とりあえず全てを読んだうえで、自分なりの感覚で評点をつけ、その上位3冊については記事にし、それ以外についてはひとことずつ(ひとこととは言ってない)まとめて記事にするという手法を、第23回文学フリマ東京から行っているのでかれこれ半年以上やっていて、イベント参加数的にも今回が折り返し地点かと思われる。なので、シーズンの感想を述べる前にここまでやってきた中での感想もここに記しておきたい。

 なお、評点のつけかたについては下記の記事にまとめてあるので、今回初めてシーズンの記事を読むという人や、そもそもお前はなにをやってるんだという人はぜひ読んでいただきたい。この原則に従って好き勝手に同人誌の感想を述べていくというのがある種のライフワークになっているということを伝えたいのと、あと、ここから先の文面はこの記事を読んでいないとおそらく意味が分からないと思われる。

 

houhounoteiyudetaro.hatenablog.com

 ここまで、23回文フリ東京、文フリ京都、テキレボ5、3回文フリ金沢、24回文フリ東京、2回文フリ岩手で6シーズンあったということになる。また、第25回文フリ東京シーズンから評点方法などを見直し新たな1年をスタートさせる方針であるので、ぼくのここまでの予定であれば、残ったシーズンは尼崎文学だらけ、文フリ大阪、テキレボ6、そしてここにもしかすると文フリ福岡が入る可能性がある。多くとも4シーズン、つまり今年は10シーズン前後となる。なんかもっとあったような気がするんだけどなあ、気のせいかな。

 登録されたアイテムは57冊、うちDNR(期間内に読了不能)と判断したものが3冊あるので54冊を読んだことになる。

 その平均評点は61.98点。平均でいうと各シーズン9冊が登録されていることになるので、平均点だと上位3冊には届かない。意外にも高いのは、先回の文フリ東京と今回の文フリ岩手での平均評点の大幅な上昇のためと思われる。しかしながら、前半では60点以上ともなれば上位はほぼ確実だった。最初のシーズンでは59点の作品が3位としてランクインしている。

 なお、ここまでの中での上位3冊は、下記の通り。

 1位 「ファントム・パラノイア」著:咲祈(モラトリアムシェルタ)

 (23回文フリ東京シーズン首位 総合評点75点)

 2位 「永遠まで、あと5秒」著:古月玲(サテライト!)

 (24回文フリ東京シーズン首位 総合評点73点)

 3位タイ 「内なるガパオの囁きを聞け」著:相楽愛花(素敵な地獄)

 (24回文フリ東京シーズン2位 総合評点72点)

 3位タイ 「最深の心悸の宇宙の続き」著:酒井衣芙紀(無芸)

 (テキレボ5シーズン首位 総合評点72点)

 いずれも70点を超えている。体感として70点を超えるものはやはりまれであるが、特に最初のシーズンで「不倒点として君臨し続けるであろう」と述べた咲祈氏の「ファントム・パラノイア」がぼくに与えた衝撃は相当だったようで、実質評点が(正当に)インフレをはじめ、高評点の作品が多く出ることになっても、肉迫はされているものの未だに歴代1位の座に君臨し続けている。これは本当にすごいことであるし、だからこそぼくは彼女を勝手に師匠と呼んでいる。師匠がどう思っていようがそれはそれ、ぼくの勝手だ。

 それはともかく、ツイッター上での評判や新刊情報を見る限り、文フリ大阪やあまぶん、またテキレボ6に至っては「みんなのごうがふかいな展」を行う関係で特別シーズンもあるため、なかなか高密度の激戦が予想される。もしかすると、75点を超えるものがひょっとしたら出てくるかもしれないし、ひょっとすると誰も到達していない80点台に突入するものも中にはあるかもしれない。そういった発見のよろこびをつぶさないようにしていきたいと思っている。

 

 さて、気を取り直して、文フリ岩手シーズン、始まります。

 この記事は上位3冊に入らず、惜しくも選外となってしまったみなさんについて、一言ずつ感想を書いていくものです。

 

「由美子抄」著:吉田昌寛・篠崎由美子(死海文書技術研究所)

 かーびぃ氏ありがちの「表紙に描いてある18禁のマークを見落として買っちゃう」やつ、今回もこのミスを犯してえらい目にあった。篠崎由美子という架空の(?)女性を視点として、彼女と文字通り交わってきた男たちのドクズエピソードをこれでもかというくらいに綴った作品。もうエグい。ひたすらエグい上にこの由美子の設定自体がなかなかにエグい。どれくらいエグいかというと、リスカしながら相手の血を啜ってセックスする、というエピソードが序盤にあるんですけどそのあとに本人が「アレでエグいと思ってるならもう読まないほうがいい」って注意書きしてて、事実その通りだったというレベル。「ごうがふかいな」どころではなく普通に業が深いです。

 思うんですけどかーびぃ氏この手の性描写たぶん苦手。この前の18禁のやつでも思ったんですけど。どこかでファンタジー性があるやつなら大丈夫なのかもしれない。

 とにかく業が深いのでお勧めしたい気持ちは半端じゃないんですがあまりにもエグいのでそういうのが好きな人以外にはちょっと勧めにくい。

 ちなみに隣のブースだった。一見普通の人なんだけど独特の雰囲気があったし新刊のコピ本はかなりはけてたから、やっぱりキャリアが違うんだろうな、などと。

 

「世界すぐ滅ぶ」著:笠鷺リョーノ(金魚大明神)

 ぼくはずっとこの人の話がしたかったんだ。というかですね、隣がプロ(セミプロ?少なくともあれは完全なアマチュアではない感じだった)のめちゃくちゃ作り込まれていたブースなのにもかかわらず、すごく、すごくすごく圧倒的な「ごうがふかいな」を醸し出していたこのブースを見つけた時は運命かなにかか、と思った。通り過ぎようとして思わず五度見くらいして戻ってきましたからね。興奮しすぎて何話したか全然覚えてないんですけど、たぶんそんなに変なことはしゃべってないと思うんです。まあそこはどうでもいい。

 小説はこう、全体的にシュールレアリスムっぽい感じで、延々と非現実と現実とが行ったり来たり帰ってこなかったりみたいな、脳内空間をクスコかなんかでむりやり拡張させられるような読後感が特徴。あと何本か完全に「かーびぃ氏がウォッカを一気飲みしてから作ったやつかな????」みたいなレベルで既視感がすごいものがあって「この人なにものだ」ってなった(語彙力)。

 レトリックとセンテンスの使い方、その手癖なんだろうなあ、なんとなくこう共鳴するものがあるというか、この人の文章、不思議に不思議すぎて不思議(語彙力)。

 なんだろう、こう、「サブカルは死ねばいい」とか言いながらヴィレッジヴァンガードで茶髪キノコ頭の女子めがけてアイスピックを振り下ろしてそうな感じです。たぶん違うけど。

 今シーズン中ベスト「ごうがふかいな」だと思います。

 

「やってられっかこんな人生(もの)」著:笠鷺リョーノ(金魚大明神)

 さっきの「世界すぐ滅ぶ」買うじゃん?「ごうがふかいな」じゃん?興奮するじゃん?そりゃもう一回買いに行くよね。ということでこっちが実は新刊。正直な話「世界すぐ滅ぶ」ほど期待はしていなかった。なぜなら表紙からしてだいぶ「ごうがふかいな」が薄いと感じたから。だから最初手に取らなかったわけで。ただし尖り具合はこっちのほうが上かなと。特に主成分である「悪夢」にはこの人特有の無理やり空間を拡張させられる感じがすごい。一気に読むとかなり疲れます。ただたぶん自信作なんだろうなと。そんな感じがします。

 あと薄々感づいてたんですけど、ぼくと昔の生活圏被ってると思うんですよねこの人。既視感がすごいのそこらへんだ、って感じました。

 どっちかは3位以内になる予定だったんですけど、別で引いたものがあまりにもあんまりだったので選外に押し出されてしまっている。もっと読みたい。

 言葉選びだと「世界すぐ滅ぶ」なんですけど、小説全体としてはこっちのほうが若干よいかなと客観的には思います。ただぼくは「世界すぐ滅ぶ」が圧倒的に好きです。

 たまに球体の生物になってる夢みたことあると思うんです。

 

「彼女たちの棺」著:月ノ音姫瑠(メンタルティック→ワルツ★)

 文フリ岩手の2大ごうがふかいな、そのもう片方はこの人だと思うんです。会場設営しているときから「バリッバリのロリータさんおる」と思って見てたんですけど、実際にブースで話をしているときの立ち居振る舞いから頒布されている詩集まですべてがもう完成されてて、読み終わったときには思わず「なんということだ」と声を出してしまったような気がした。隣の死海文書さんなんも言ってなかった(というか全く同じ詩集読んでてそっちにビビった)からたぶん声には出してなかった。はず。

 この人の完成されている要素は、単に詩集を読んだだけでは伝わらないし、かといってたぶん数分話をしただけでも伝わってこなくて、つまりすべてをすべて見通して初めてその完成され具合に気づくという、というかだからつまりぼくも本当はこの人の完成形を見ていないわけだけれど、完成形たぶんすごいことになると思うんです。

 詩集としては装丁こそシンプルなんですけど、動きや内部の詩のリンクがすさまじいことになっていて、じわじわと効いていく。そりゃどかっとした言葉もあるんですけど、この人はどちらかというと構成がうまいのかなと思う。全体を俯瞰したときに初めてぞわぞわっと何か得体のしれないものが走っていく感じ。言葉にできない、プラスでもマイナスでもないやつ。だから「ごうがふかいな」なんです。

 どうやら懇親会にいらしていた模様。本当に懇親会に出られなかったことが悔やまれる。

 

「翼の生えたオランウータン #とは」著:今田ずんばあらず(ドジョウ街道宿場町)

 ということで、今回もずんばニキこと今田ずんばあらず氏の単行本を購入。東北であることもあってか、イリエは相当な頒布数を記録したらしく、相当忙しそうだった。

 本としては丸山則夫という一人の男をサブキャラクターとした、一見つながっているようでいてつながっている短編をまとめたもの。どうも氏が大学生時代に所属サークルに寄稿したものを集めたようだ。全体的に、非常に書き慣れているな、という感じがあった。おそらく大学に入る前から文芸部などでこの手の小説を書いていたのだろう。その点ぼくとはだいぶ異なっている。キャリアというか、書いている本数が違う感じがした。描写の過不足がほとんどなく、構成もかきやすいシンプルな形を維持しているのがその証拠で、このキャリアがあってこそのイリエなのだなと思った。ちなみに題名はなんというかSNSを使っていないとなんのことかよくわからないハッシュタグ付きのアレなんですけど、つまるところこの丸山則夫のことだったっていう。そういうところも含めて極めてシンプルな短編集。それだけにイリエではあまり出してこなかった今田氏本来の書き手としての癖が出ているように感じた。

 残部僅少らしいですよ奥さん。

 

 以上。

 長くなってしまったが、次の記事からが上位です。