日本ごうがふかいな協会広報

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概念上のミサイルは他者の想像上の範疇では簡単に迎撃されうる

 どうもかーびぃです。我ながらこの記事を書くのは非常に気が重い。

 

 詩というものは難しい。僕がまともに知っている詩人は、谷川俊太郎まどみちお草野心平中原中也、くらいなもので、しいて言うなら寺山修司大槻ケンヂもそこに入るっちゃ入るのかなあと思うくらいである。松永天馬には興味があるけれども決起曲手を伸ばせていない。

 その大槻ケンヂのバンドとして一世を風靡し、今なおサブカル界の一角に重鎮として腰をうずめているバンドが、ほかならぬ筋肉少女帯であり、ぼくは高校時代これに傾倒してバンドを組んでいた。このメモ帳を読んでいる教養レベルがおそろしく高い皆様がたであれば、「踊るダメ人間」や「日本印度化計画」を一度くらいは聞いたことがあるのではないだろうか。

 ちなみに、ぼくが一番好きなのは「月とテブクロ」で、どことなくプログレっぽい雰囲気と幻想的な歌詞、そしてオーケンにしては明確な棘のある言葉がなく、一見暗くないのだが、全体的に仄暗い雰囲気を漂わせているそんなところが好きなのかもしれない。

 

「徒花に祝砲」著:酒井衣芙紀(無芸)

(通読性:17、宇宙感:19、残響度:18、嗜好:8、闇度:A 合計:68点)

 ということで、テキレボ5シーズンに続き、今シーズンも3位となった酒井氏の最新詩集、というより音楽でいうところのシングル、つまりこれはひとつの非常に長い詩のみで構成されている。真っ赤な表紙にどことなくレトロな雰囲気の体裁が不吉さと攻撃性を連想させる。そして、ひとつの詩ではあるが、連ごとにかなり趣を変えて攻めてくるのがこの詩の不思議かつ面白いところで、最初の1連と最後の6連こそ、素に近いガドリングガンが飛び出すが、特に2連の、オーケンよろしくタイトロープを自在に操ってこちらの頸椎を的確に縛り上げてくる感じや、5連のよく磨かれた包丁で太ももの動脈を確実に切り裂いていく感じがもうなんというかとりあえず読者必殺みたいな感じで、あるベクトルにおいての女子力最大なんですよ。いやもうこれ、なんというか女子力としか言いようがないんだけど全然女子力じゃなくてなんらかの力なんだけどまあ強いて言うなら基底ベクトルがすごいずれた女子力みたいなそんなアレですアレ。もうだめだ語彙力が死んでる。いや、語彙力が死んでるのではなくて、的確な日本語が存在しないから勝手にフォーマットに詰め込んでるだけなんだよなあ。フォントが搭載されてなくて近似フォントで埋められてしまうあの悲しさですよ。

 これねーしかもねー各連のゆるやかなつながり、SNSみたいなゆるやかなつながりがあって、1連と6連で残りを挟み込んでいるんですよ。それがおそらくこの各連を詩としてではなく、連としてひとつの詩に紐づけた理由だと思うんですね(もしかすると因果的に逆の可能性もあるけど)。今まではどちらかというと攻めるにしてもこう、言い方をあえて下品にするとパワーワードを無数に展開していく感じがあったんですけど、それだけではないんですよと、もっといろいろ引き出しも武器もありますよと、それをやっぱり屈託のない笑顔で示されたような気がして、なんというかもう一種の敗北感すらあるんですけどこれはぼくの傲慢なんですよね。なんの確認だ。

 なにひとつ説明してないんですけど、これがぼくの今の全力です。本当に申し訳ない。もうあとはとにかく読んでくれとしかいいようがない。たしかに、これはひとつの詩をそのまま売り出せるレベルであると思う。

 

 あと、地味になんですけど、この酒井氏、今回で相楽愛花氏に続き2人目となる「同じ作者が2度以上記事化される」という実績を解除している(前回はテキレボ5シーズン首位)。まず今まで誰も達成していなかったというのが自分的には結構驚きで(前回の上位は必ず次のイベントで買ってくるからだ)、個人的には今回でようやく、といった感じが強い。

 という感じで、非常に難しい感想だったんですけど、よろしくご査収ください。