かーびぃのメモ帳

球体の生物が日々感じたことをつぶやくよ!

悔しさをばねにできる人間だったらとっくのむかしに月面に着陸してるはずでしょ

 どうもかーびぃです。

 

 

 Bump of Chickenの名曲に「ダンデライオン」という曲がある。起承転結がしっかりしててオチまでよくできている、なんというかちょっと落語のような歌詞で、というかバンプ全体にそれは言えることだけれども、強い構成力がある曲ってやっぱり安定していてたまに聞きたくなるのだ。

 

「初期微動継続時間」著:ジンボー・キンジ(一人の会)

(通読性:22、宇宙感:17、残響度:17、嗜好:6、闇度:A、合計:69点)

 はじめ、全く興味がなく、なんだか大きな本だ、と思っていたのだけれど、ブースにいた(おそらくこの本を書いた本人と思われる)がとても自信たっぷりだったのがどことなくその自信作ぶりを表していたのと、そこまで言うのならと思って手に取ってみたのだが、まさかこれほどまでガチガチに固められた短編が、8本も埋められていたとはといった形だ。落語をずいぶん嗜んでいるのか、落語を主なバックボーンにして、その型で話を展開しており、非常に安定感があり構成力も高い、技巧的な作品が、それぞれの色を纏って煌びやかに展開していくさまがすばらしいと思った。これだけ安定して、しかも様々なジャンルを横断したうえで、落語的なフォーマットに押し固めて小説化しているというのは生半可な努力と覚悟で出来はしない。それは正真正銘武術の訓練と全く同等のものであるとぼくは思っている。

 個人的に好きなのが、SFチックな「飛翔!」と、シュールレアリスム的夢幻想物語風バイオレンス小説「レッドアイ・イン・ザ・バー」で、この2作はこの短編集の中でもとびぬけているように思われる。「飛翔!」のオチはやはり落語チックで、どこかそれが星新一を彷彿とさせるが、そこに至るまでの状況描写がとても細かく、また視線誘導が自然で、このあたりの基礎力が非常に高いのがなんともこう、同じ書き手として悔しい。非常に悔しい。

 「レッドアイ・イン・ザ・バー」は、端的に言ってめっちゃくちゃ面白い。たぶん作者も面白いほうを優先したのだろうなという感じがものすごく伝わってきた。限りなくジャズに近いロックみたいなカオス空間が延々と続いていて、登場人物がどんどんぶっ壊れていくのが愉快でしかたなかった。しかしコントのようなわちゃわちゃしっちゃかめっちゃかにするのではなくて、ただただ淡々と、狂ったように一定のビートを刻みながら演奏をやめないバンドのような強い軸があって、それが物語全体に締まりを作っているのがわかった。これはすごい。本当にすごい。

 あと、おそらく飛田新地とあいりん地区、もしくはその周辺のいずれかをモデルにした蓮華町シリーズも面白かった。階層化され、隔絶された社会で、そこに取り残された人間がどのような言葉を放つのか、どのように行動するのかが、ある種の希望をもって描かれているようにぼくには感じられた。続きというか、別の話も読んでみたい。

 

 というわけで、文フリ岩手は掘り出しものがとても多かった。今まで読ませていただいたサークルはもとより、ここでの独特な出会いというのがかなりあったように思う。

 次はおそらく尼崎文学だらけ、通称あまぶんである。参加者はいずれも名前だけは聞いたことのある強者ぞろいで、ぼくなんかが参加してよいのだろうか、などと今更になって思うのだが、そこはそれとしてどうにかするしかない。今シーズンもふたを開ければかなり高度な戦いであったが、次シーズンはそれ以上の接戦が予想されることをぼくも期待したい。