日本ごうがふかいな協会広報

日本ごうがふかいな協会の広報ブログです。

遠き地で誰かの喪失を悼む時、ひとは一番やさしい顔をしている

 どうもかーびぃです。時間がやばい。

 

 

 ということで、あまぶんシーズン、現時点で恐ろしいほどの激戦が繰り広げられているが、ここで惜しくも選外になってしまったものについてまとめていきたい。

 たぶん今回、選外まとめが4本か5本くらいできると思われる。

 

 さくさくいこう。

 

「(タイトル不明)」著:鈴木マヤ子

 手で綴じられたコピー本がとても印象的なのだが、裏表紙に勾玉の絵が描いてある以外に何も表題がなくタイトル不明としてとりあえず登録させてもらった。体裁としては詩集である。とても素朴で、それでいてなつかしさを覚えるような不思議な詩が並ぶ。趣向の凝らし方が独特な、素敵な本だなと思った。もうちょっと読んでみたい。

 

「浦の三毛猫」著:庭鳥/紗季(ペーパーカンパニー

 猫の写真が印象的な短歌集。表紙がよくて衝動買いしてしまった。よい。語彙力。

 

「斜陽の国のルスダン」著:並木陽(銅のケトル社)

 はい、出ました。会場ダッシュしてでも欲しかった今話題の。NHKでラジオドラマ化されるというものすごい小説ということを聞いて是非とも、と思って手に取った次第。その完成度たるや、最初の3行を読んだだけではっとさせられるほど。

 ジャンルとしては歴史小説にあたるのだろうか。モンゴルが台頭していた頃なので13世紀くらいの話(?)だと思われる。歴史は全然だめなのでもうちょい勉強してから、と思ったのだが、それを抜きにしてもこの物語は非常に引き込まれる。

 物語の舞台となるのはカフカス山脈を北に臨む、グルジア(現:ジョージア)という国。モンゴルの圧倒的な勢力と対峙する女王ルスダンと、彼女を愛し続けたディミトリの悲恋、とまとめるのは簡単であるが、その展開たるやスケールが非常に大きい。そしてぼくが非常によいと思ったのが、ホラズムのジャラルッディーンという英雄の描き方である。史実通りなのかはわからないが彼が敵(グルジアキリスト教国なのでイスラム勢力とは事実上敵対関係にある)ながら非常に魅力ある描き方をしており、その生き生きとした筆致がとても印象的であった。

 ちなむと歴史小説というのはぼくの中ではジャンル不利で高評点につながりにくいのであるが、この作品は破格の70点超えを果たしている。だが、ここにまとめられているということはつまりそういうことなのだ。激戦シーズンはつらい。

 

「さびしがりやな灯台の話」著:そらとぶさかな(月刊さかな)

 空アンソロに原稿を寄稿しているひとの中に、なんとも特徴的な名前の(お前が言うな感あるが)ひとがいて、どんな物語を書くのか非常に気になって買ってみた。そのものズバリ、さびしがりやな灯台についての話なのだが、灯台とそれ以外の生物ならびに無生物とのやりとりがとてもユーモラス。短いおはなしの中に素敵なファンタジーが詰まっていた。空アンソロの作品も読んでみたい。

 

「Maltreated Alice」著:本田そこ(そこそこ)

 そこ兄こと本田そこ氏の新刊である。そこ氏にしてはやや長めの作品となっているが、文章が非常に読みやすいせいかすらすらと読むことが出来、その世界観にもするりと入っていけるところが魅力である。最初は異能バトル系かと思いきや、ものごとが思った以上に日常寄りに展開されていき収束を迎える。そしてその後日談がなかなかに強烈。そこ氏らしさが存分に出ている作品といえる。

 70点の大台にとどくかという高評点であったが、あまぶんシーズンだからね、仕方ないね。

 

「THE CULT」著:神坂コギト(GARBS. from 友引撲滅委員会)

 見本誌試し読み会でついつい引き込まれてしまいついには最後まで読んでしまった作品。少女を信仰する、というカルト宗教について描かれている。これだけでも非常に強い「ごうがふかいな」を感じられると思うのだが、この作品はその引きもさることながら展開や構成もかなり緻密で、本当にともすると作品にどんどん引き込まれ気が付いたときには登場人物同様呆然自失の体たらくに陥ってしまう。非常になんというか麻薬的なところのある作品だった。

 

 今回はここまで。

 次回もたまってきたら纏めます。