かーびぃのメモ帳

球体の生物が日々感じたことをつぶやくよ!

尖りは一辺倒であればあるほど単純になり、丸くなっていく

 どうもかーびぃです。

 

 さっそく。あまぶんシーズン選外まとめ2本目のお時間です。

 ここに載せることすら惜しいすばらしき同人誌たちを今回も紹介していきます。

 

「お母さん」著:鳴原あきら(恋人と時限爆弾)

 もう、すさまじい作品。かなりの「ごうがふかいな」を感知したわけなんですけど、本当にダークな意味での「ごうがふかいな」とはまさにこの本に収められている感じです。めちゃくちゃ簡単に言うと母と長女の確執、にもならない、というのは語弊があるけれども、まさに背負った業の深さ(ごうがふかいなではない)からくるわだかまりのような息の詰まる攻防が繰り広げられているといった感じでしょうか。この作品を読んだ人の中には「いや、攻防というか一方的な攻撃じゃねえの?」と思われるかもしれないが、それはどちらかのサイドに立っている状態での見え方にすぎない。「お母さん」の行動は確かに攻撃に見えるかもしれないが、一種の過剰防衛ではないかとぼくは思う。中編と呼べるほどの分量ではあるがその中に詰まった闇は濃厚にして普遍的。

 ちなみに、このシーズンで発覚した、ぼくの評点時のくせのようなもののひとつに「72の壁」というものがある。すなわち高評点のものであっても72点を超えることは難しい、という統計的事実だ。この作品も実をいえばその壁に阻まれたもののひとつである。つまり、現時点ですら、上位3作品はその壁をクリアしたものしか残っていない、ということでもあるのだが。どれほどまでに熾烈を極めるんだ、あまぶんシーズン。

 

「きょりかん」著:海老名絢(パレオパラドキシア

 文字通り、「きょりかん」について綴られた詩が並んでいる。みずみずしさと硬さを保った言葉が組み合わされ、読者と詩の間、詩と詩の間にも絶妙な「きょりかん」を保っていて、とてもとても切ないし、何かに突き動かされるような、そんな力がある。尖ったワードや凝った演出を使わずにここまでの詩集を作り上げること自体のすばらしさもさることながら、この作品集は何度でも読みたくなるような気持にさせられるという意味でも非常に強い。ちなみに70点超えでもある。

 

「運命も、閃光のきらめきも。」著:madelene(モノカキヤ)

 個性的というか、端的に言うといわゆるひとつの「ごうがふかいな」を絶妙に体現しているような陳列をしているブースがあり、興味深かったので手に取ってみた次第。装丁は素朴ながら随所にこだわりが見られ、また収められている短編も非常に「ごうがふかいな」であった。なんだろうジャンル的には「性癖系ごうがふかいな」って感じでしょうか。いや、ほんと素晴らしいです。シンプルすぎてどストレートに突っ込んでくるあの感じです。ブレーキ踏んでねえなみたいな。それでいてスピンどころか一切ブレがないから技術は高いんだな、じゃあこれ確信犯か、みたいな。すんばらしい。

 

「夜が濃くなる」著:豆塚エリ(こんぺき出版)

 個人的に「尼崎文学だらけ~夏祭り~」のキラータイトルのひとつだろうなと思ってわりと早いうちにゲットしたわけなんですけど、本当にこれはすごいです。想定からして恐ろしい。凝りに凝ってる。表紙と遊び紙がもう何このセンスやばない?って感じですよ。イケてるとかいうレベルじゃないですアーティストですよこれだけで。中身白紙でも買いますよこんなん。もちろん中身もそれに負けていない。意表を突かれるほどシンプルに表示されたテキストは読みやすさを限界まで高め、没入感をよくする働きがある(ようにぼくは思う)。先ほど述べた「きょりかん」とは別のアプローチ、別のモチーフであり、それを比することは全くできないわけだが、どちらかというとこちらは読めば読むほど深みに嵌っていくような言葉が並んでいる。すらりと情感をなでるのではなくかみしめるような。まさに夜が濃くなっていくような、手探りをさせられるような感覚を味わえる。すごい。これもかなりの強さを持っている。70点超え作品。

 

グランジナースの死」著:ひのはらみめい(ひのはらみめい)

 これもなかなかにパンチのある作品。読んでいるそばから読者の脳髄に文字の羅列で構成された触手を伸ばして思考をハッキングしてくるようなサディスティックな作品集。この作品の紹介としてシュールレアリスムと呼ばれているのを見たが、まさにその通りで、現実が伸び縮みしながらぼくらの身体に空いた穴という穴に入り込もうとする。そしてかれらは概念になるのだ。しかもずっと抵抗していると腕に注射を打たれ無理やり作者の概念を注入される。これから逃れるのはとても難しい。その概念とは主に「いきたい」の四文字で構成されているといっても過言ではなく、であるがゆえに美しくとてつもなく汚い。とにかくこの本の中に封じ込められている概念という化け物にみんな触れてほしい。それは、意外とあたたかいし気持ちがいいのだ。抜けられなくなるかもしれないくらいに。壁に阻まれたという意味で上位確実だった作品。

 

「白蜥蜴の夢」著:宇野寧湖(新天使文庫)

 正直、この作品はいまのぼくにとっては精神的にたいへんすぎた。テーマ的にもそれは仕方がないところがあるようにも思う。もし記事化されたならばそのあたりの対比だとかなんだとかを書き連ねるためにぼくのアレでコレなアレ経験をさんざんぱら書く必要が発生してしまうのだがどうやらそれは免れたらしい。サンキュー。わりと直球めの「恋愛系ごうがふかいな」だなあと思ってるんですけど、作中に出てくる白蜥蜴にも、そしてこの作品の「ヒーロー」(いわゆる一般的な創作ロールにおける「ヒロイン」の男性型という意味で)である明人にもかなり感情移入して読んでしまったんだけどたぶんこれぼくだけだと思うんです。いやそう思いたい。世の中にここまで気持ち悪いおっさんがそんじょそこらにいてほしくない。とにかくイケメンはいいぞ、あと作中人物全体的にハイスペだからかなトレンディドラマ感出てるのって思いました。それはそれで「業が深い」なんですけど。表紙のはしっこにしれっとR18表記を見逃したやつこれで3回目なんでそろそろちゃんと表紙を見ていこうと思います。これも72の壁で止まったわけで、まあ普通に考えて記事化するアレなんですけどこれが選外になるあまぶんシーズンマジなんなんだ。ほんと。おかげて助かりましたけど(精神的に)。

 なにいってんだこの球体の生物。

 

 というわけで、選外が確定した6作品について、書かせていただきました。

 ほんと、他のシーズンであれば記事化どころか普通に首位すらあり得るというとんでもないハイレベルな戦いが続きっぱなしなあまぶんシーズンなんですが。

 ようやく後半戦といったところで、まだまだ強力と思われるものを残しに残しまくっています。番狂わせも十分あり得るよ。

 

 というわけでぼくはねるぞ!