おもちくんのメモ帳

球体の生物が日々感じたことをつぶやくよ!

仁義はひとそれぞれ

 

 どうもかーびぃです。

 

 さて、ようやく、イベントから2か月が経とうとしているのだが、ようやく文フリ大阪のすべての評点化可能作品の評点化が完了し、その順位が確定したので、ここにお知らせするとともに、今回では惜しくも選外となったものをまとめていこうと思う。存外にハイレベルな戦いとなったことをここに記したい。

 

 

「少女の構造計算書」著:灰野蜜(イン・ビトロ・ガーデン)

 3篇の美しい少女達の物語が織りなすハーモニーは非常に灰野氏らしさが出ていて、とてもよかった。この人の持ち味は細密な描写にあるとぼくは思っているのだが、今回はきらきらとした少女達の日常(青春と呼べるほど生きた匂いのしない、もっともっと無機質な塵のように乱反射しているようなもの)を綴るのにこの持ち味が非常に強く出ている。何度も何度も読んでいたくなるような美しさと素朴さをたたえている。シーズン終盤まで上位を保っていたが、終盤の強豪たちの前にあえなく選外となった。70点以上。

 

「Black Sheep in the Cage ~贄が唄うは滅びの調べ~」著:神谷アユム(青猫のすみか)

 文フリ金沢で紹介した、当時唯一闇度Sを記録した作品の続編。前編よりもスタンダードで滾るストーリーラインは骨太で、それでいて愛憎のやりとりがすさまじい。このシーズンの中でもトップクラスに直線的な感情が飛び交っている作品。感情の銃撃戦ともいえるかもしれないが、それを本当に忠実に表した神谷氏のエモーショナルな文体がとてもよい。中身がよくわかっていなかった前編と比較すると大幅に評点が上昇しているのもそういった理由と思われる。熱さでは文フリ大阪シーズン1位にもなれるのだが、惜しくも上位に届かず。

 

「ホクスポクス」著:凪野基(灰青)

 浪速のおはなし職人こと凪野氏の短編集。きらきらと輝くような9つの短編/掌編がどれもこれも魅力的で、それでいて細部の細部まできめ細やかにギミックが打ち込まれている。この人の無駄のない文体は職人芸といってもいいくらいに緻密でかつ合理的で、こちらの隙が入り込む間がない。また、技術というものにどこか明るい展望を抱いており、出てくる人物があたたかいのも特徴的だ。72の壁にたどり着いた作品。

 

「赤ちゃんのいないお腹からは夏の匂いがする」著:にゃんしー(おとそ大学パブリッシング)

 ごうがふかいな度でいえば、今シーズンダントツではなかろうかというにゃんしー氏の代表作のひとつ。ツイートでも述べたが、ぼくはこれを究極の童貞小説だと思っている。おそらくこの作品を読んだ人間はそう思わないというひとがほとんどだと思う。けれど、読みおわったとき、球体の生物がこんなとち狂ったことを言っていたのは、もしかしてこういう意味だったのではなかろうか、と思いを巡らせてほしい。おそらく、そこに浮かんできた言葉が「ごうがふかいな」の入り口であるかもしれないからだ。同じく72の壁にたどりついた数少ない作品のうちのひとつだ。そして内容を全く出していないのは、とにかく読んでほしいというぼくの身勝手で強い要望によるものである。

 

 といった感じで、次からが上位作品の感想に入る。

 今回は、合同誌最高評点をたたき出した作品がランクインしているほか、前シーズンで2位、81点の超評点をたたき出した佐々木海月氏の新刊もランクインしているので、乞うご期待。