日本ごうがふかいな協会広報

日本ごうがふかいな協会の広報ブログです。

黄金の都にたどり着いたその瞬間のため息の心情なんて誰にもこたえられるはずがない

 

 どうもかーびぃです。

 さて、2017ステージ最後のシーズンの最後の記事である。よくもまあ1年間飽きもせず130冊も読んだなあと思う部分と、130冊すべて紹介したいところはあるけれど一部しか紹介できなくてもどかしいという部分もある。

 

 THE ALFEEの名曲のひとつに「エルドラド」というものがある。とあるアニメのエンディングに使用されているのだが、民謡を思わせる歌詞、そしてそれを補強するメロディ、アルフィー独特のサウンド、そのすべてがバランスよく存在していて、彼らでしかなしえないハーモニーが光る曲だ。派手さこそないものの、この曲の行き着くところまで行ってしまった感は、なかなか音楽には出てこない感覚ではないかなと思う。

 

「心にいつも竜(ドラゴン)を」著:柊呉葉 ほか9名(えすたし庵)

(通読性:19、宇宙感:25、残響度:26、嗜好:9、闇度:A 合計86点

 通称「ここドラ」と呼ばれる、企画段階からして反則級の作品と常々ツイートした同人誌が、満を持して首位となった。ぼくはこの企画が発表されてから、「この作品と他の作品たちとの熾烈な戦いになるだろう」と予言した本シーズンレースであったが、強豪作家の主力作品や突如現れた伏兵にも屈せず、シーズン首位どころか、2017ステージ最高評点(しかも80点台後半!)をたたき出し、悠然とその王座を誰にも明け渡さなかったのは、もはやさすがとしか言いようがない。合同誌というある種のマイナス要素すらひっくり返すその火力に驚くばかりである。

 作品の構成自体は非常にシンプルだ。5人の書き手に5人の描き手がそれぞれの全力をぶつけて、5篇のドラゴン小説とその挿絵を書き上げているという、本当にただそれだけ。そのシンプルな構成こそが、この作品の神髄でもあり、ぼくが「究極の同人誌」だと述べる理由でもある。凝ったギミックではない、強い書き手と強い描き手、そしてその力をいかんなく発揮できる場をそろえれば、最大火力がこもった合同誌が出来上がるという、ただそれだけのシンプルな結果なのだ。けれど、そのシンプルな結果を出すことそのものが至難の業だというのは、ぼくのこのメモ帳を普段から読まれている皆さんにとっては既知の事実であろうと思う。だからこそ素晴らしいし、究極なのである。

 そして、そのシンプルな結果を成立させるため、柊呉葉氏の各参加者に対する気配りを思わせるような、(一見豪快なようでいて)きめ細やかな装丁、そしてそれを可能にした編集の手腕が恐ろしい。経験上、あくまでぼくの経験上ではあるのだが、この作品群をひとめ読んで、この掲載順にしようとはなかなか思わない。確かに、並木陽氏の「暗黒竜フェルニゲシュ」(挿絵:咲氏)はぼくでも最後にするだろうと思うのだが、最初に凪野基氏の「末裔」(挿絵:まのい氏)を持ってくるという芸当は、一朝一夕ではできないのではないだろうか。この「末裔」、全体から見るとわりかしスタンダードなファンタジー世界観で、その情景やストーリーが「浪速のおはなし職人」の手腕によって非常に読みやすくかつ入り込みやすいという部分で、引き込み要素としての導入と思われるのだが、導入として最初に置くものとしては、ぼくの考える定石では飛瀬貴遥氏の「ラジスラフの人攫い竜」(挿絵:帝夢氏)の方がしっかりとした世界観、かつ、スタンダードな線を持ちつつ、比較的朗らかな作品に仕上がっているので、おそらくこの5作品を並べられた時、その掲載順として最初にこれを用いる編集担当は多いはずである。しかし、柊氏はこれを最後の前、4作品目に置いた。最後の前というのは、すなわち「暗黒竜フェルニゲシュ」の前である。この緩急のつけかたは、やはり長く同人活動をされ、その中で真摯に様々な同人誌と向き合いながら、創作の在り方を探ってこられた人間でなければ出せないものだろう。その編集手腕が、この同人誌をよりさらなる高みへ導いたことは確実である。

 ちなみに、その柊氏も「ドライフ・ライフ」(挿絵:ZARI氏)で参加しているのだが、こちらもライトな世界観と高い構成力がひときわ異彩を放っており、書き手としての柊氏の筆致をうかがうことが出来る。参加した書き手の傾向を見てこの作品を書いたとするならば、おそらく非常にクレバーな方ではないかなと思うし、掲載順や装丁の妙をも勘案するとその可能性は高いのではないかと思う。

 2作品目に位置している、このメモ帳でもおなじみつたゐ先生こと孤伏澤つたゐ氏の「胎生の竜」(挿絵:鉄子氏)は、この作品内でいうところの「ごうがふかいな枠」ではないかなと思う。まずタイトルからしてつたゐワールド爆誕って感じではあるが、最初から最後まで徹頭徹尾一文一語の狂いもなく全て間違いなくつたゐ先生だというのには驚愕もするし本当にすごい才能だと思う。恋愛担当とおっしゃっていたがそれもそのとおりだなあと思った。でもぼく的には間違いなくごうがふかいな担当だと思います。

 で、さっきから内容に言及していなかった並木氏の「暗黒竜フェルニゲシュ」だが、これを最後に持ってくるのはもうなんというかそりゃそうなんだけどずる過ぎでは!?!?!?!?!?ずる過ぎ晋作では!?!?!??!?!!って死ぬほど思ったし事実8億回くらい死にましたんで!!!!!!!!!!!

 並木氏のこの作品はもう、全体を通して非の打ちどころが存在しないというか、そもそも非の打ちどころを探させる気すら起きなくなるほどの、全編通しての圧倒的な美と執着の塊みたいなもので、これもこれでごうがふかいなではあるし、熱量でいえばつたゐ先生とほぼほぼ同格ではあるんですけど、ここまでやっちゃう!?!?!?!?無理では!?!?!?!?死人出ますよこれ!!?!?!?!?!ってずっと叫びながら読んでて、読んだ人がみんな墓に入っていく理由がわかった。まあわしは球体の生物なんでお墓とか必要ないですから!!!!!!!!!!!!!!

 はっきり言うが、一次創作同人界隈で、この作品以上の合同誌は向こう5年は出てこないのではないだろうかと思うほどの圧倒的傑作にして究極の同人誌、すべての書き手の夢を形にしたというところがこの作品のごうがふかいなポイントであるわけで、つまりなにが言いたいかというと最高オブ最高すぎ晋作すぎやまこう市村正親松門左衛門ってことですよほんとに。いやほんと、読んでみてくれマジで、ナニコレ珍百景ですよ!「展覧会の絵」が一生リピート島倉千代子ですから!!!!!!!!!!ほんとに!!!!!!!!!!!!!!!

 

 これを超える作品に携わってみたいものであるなあ、と思った。

 

 というわけで、ギリギリではあるがテキレボ6シーズンを期間内に完走することができた。

 とはいえ、実はまだ本チャンの記事を書き終わっていない。おれたちの戦いはこれからだ!

 例のブツは明日朝ごろ公開予定にしたいと考えています。