日本ごうがふかいな協会広報

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2017ステージ統計結果ならびに2018ステージの方針について

 

 どうもかーびぃです。あえてまともなタイトルにしました。いや、今までのポエムなタイトルだと後で検索するのめんどくさいなあ、と思って。

 

 というわけで、先日2017ステージを総括する記事を書かせていただく場があり、それに間に合うようになんとかこしらえたことによって少々疲弊していたわけで、この文フリ京都が終わった時期にこんなタイトルの記事を書くことになっている。メンタル的な調子がよろしくないのでその辺ご勘弁いただきたい。

 しかも、さらに言えば2017ステージは年度の切り替えを文フリ東京(秋)としているので、文フリ東京だけは2017年開催なのだが2017ステージではなく2018ステージになるという変則ルールなので、その総括をすっとばしている。そしてぼくはまだ文フリ東京ステージを始められる状況にないので、この点についてはしかるべき時に再度記事を書くことになるだろう。

 それはともかくとして、文フリ京都も終わったわけだし、ここで2017ステージのあくまで統計的な話と、2018ステージにおける評点方法についての説明をさせていただこうと思う。

 

 まず、全体の統計情報から。

 2017ステージ評点統計

 総評点化点数:129点(131点登録、評点化不能2点)

 評点平均:66.05(小数点第3位以下四捨五入)

(ただし、ステージ前半の上位作品については上方修正後のものを用いた。そのため、素点での実質平均は大幅に下がる。あくまで参考値)

 最高評点:86(テキレボ6)

 最低評点:47(文フリ東京24)

 70点以上の作品数:49作品

 通読性最高点:23(あまぶん2)

 通読性最低点:8(テキレボ5)

 宇宙感最高点:25(テキレボ6 2点、テキレボ5、文フリ東京23各1点、計4点該当)

 宇宙感最低点:12(文フリ東京24 1点、文フリ金沢3 2点、文フリ東京23 1点、計4点該当)

 残響度最高点:26(テキレボ6)

 残響度最低点:10(テキレボ6)

 

 全体の傾向として、通読性が低めに設定されやすいことや、宇宙感のばらつきが少ないことなどが読み取れる。

 各シーズンの上位については、前回書いた記事を参照してもらえれば、だいたいどんなものにどのように点がついているかを知ることは可能だと思うので、そちらをどうぞ。

 さて、このステージの反省点。

 2017ステージにおいては、3分野各30+嗜好10+闇度10の110点満点で評点を行ってきた。その平均値が66というのは、個人的な実感としてはかなり高い値で、先回も述べたように、なぜなら自作評点を59とある種の基準として置いているにもかかわらず、このような結果になっている。それは、ステージ後半、さらにいえばあまぶんシーズン以降にぼく自身の知名度が上がりそれまで認知されなかった書き手の界隈にもぼくの記事が話題になったり、ツイッターが活性化したりした結果、同人誌に関する情報が今までより多く入り込むことによって、ぼくが手に入れるものの質が(嗜好/品質ともに)向上したのだと考えられる。そのためステージ前半の上位作品については上方修正を行ったのである。

 さらに、評点傾向としてはジャンルの格差が少なからず存在している。SF、ファンタジー、大衆小説が上位をしめ、逆に、ミステリ、時代もの、恋愛小説は下位になる傾向が予想以上に顕著であった。ぼくはこれを「ジャンル有利/不利」と表現している。もっとも、ひとりの人間の判断だけで評点化を行う以上、このような偏りはあって当然なのだが、記事化の都合上、記事にできるのは各シーズンの上位3冊のみ。

 正直な話、これ以上は難しい。

 そうなると、どうしてもジャンル不利の作品にはスポットが当たりにくい。それはそれで割り切ってしまうというのもアリだし、今後の方針からすればそのほうが圧倒的にやりやすいのだが、いいものを伝えられないというのは個人的な感情としてなかなかに歯がゆいものがあった。

 また、評点の性質上、完全な客観性は担保されず、それはぼくがひとりでこの作業をやっている以上当たり前なのであるが、しかしどこからが完全な主観でどこからが客観的要素があるのか、そこが分野ごと、シーズンごとにまちまちで、シーズン間の評点の格差の原因にもなっているように思った。ステージで切っているので、それは出来ればなくしていきたいと思う。

 そこで、今回は評点方式を大幅に変更し、主観的なところを極力抑え、また、半客観分野と主観分野で評点を分けられる仕様にした。そして、前回は実のところ上位争いの結果に大きく響いたのがボーナス点であるはずの(嗜好点/闇度)であったので、それを小数点以下のフレーバーとしてのみ加算することにした。また、主観分野では逆に、ぼく自身がどう思ったのかを点数化できるように工夫を施した。

 結果、半客観分野(文体/空間各50)100+主観分野(感覚/ごうがふかいな各50)100の200点満点を基本とし、基準を2017ステージで最も頒布のあった弊社作品「V~requiem~」とし、その評点を117.48と定めた。

 以下、各分野に関しての評点基準を大まかに記す。

 文体(50点満点)

 構成されている文章(散文/韻文を問わない)の単純な面白さや技巧力を評点化。華やかさや渋さなどのまとまりがあるものに関しては高い点が付くように思われる。

 空間(50点満点)

 表現されている世界観を支えられているか、そもそも世界観を表現できているとぼく自身がみなせるかどうか、この点を評点化する。この点に関してはぼくの読解力にも関わってくるのでなんとも言えないが、しかし多くの人がなるほどと思うような世界観を表現しているものに関して評点を高くしたい。

 感覚(50点満点)

 構成されている文章ならびに世界観を読み込んだうえで、書き手が何を語りたいのか、そしてそれに対してぼくがどれだけこの作品を他の人に勧めたいか、という基準を感覚という2文字に収めるのはかなり強引だが、つまりはそういうことである。オススメ度、と読み替えてもいい。おそらく、上位争いで重要な評点分野になるものと思われる。

 ごうがふかいな(50点満点)

 せっかくなのでぼく自身が探究している「ごうがふかいな」についても、この作品に潜んでいるその強さや深さ、味わいについて、一応概念を発見した身として感じたままを評点化したい。しかしながらこれはなかなか主観的なものなので、前項のオススメ度的なものと相反する結果になりやすそうである。また、以下GFと記載する。

 嗜好(未加点)(10点満点)

 2017ステージとほぼ同じ感覚であるが、中央値を5に設定したい。なので、2017ステージよりもやや厳しい判定になると思われる。また、今ステージでは直接加点せず、GFの評点とこの評点を乗算等の傾斜計算をして小数点以下に処理したものを端数点として加点する。つまり、上記4分野の合計が同点になった場合のみ、この嗜好点が生きてくる結果だ。

 レーティング(減点要素)

 2017ステージで上位だった書き手は、その性質上、今後も上位を独占し続けるはずである。それを防ぐため、新規参入した書き手に対し優遇策として、「書き手レーティング制度」を導入する。これは、過去のシーズンの評点の平均を素点として、その書き手の記事化回数、首位の回数、また合同誌の参加数などを加味して傾斜化し、理論値上限を8として小数点以下第3位まで算出し、特定の書き手におけるステージ内レートとして、その書き手の作品の素点から減点処理を行うものである。単純計算で100点満点が200点満点になっているため、2017ステージに置き換えれば理論値上は最大で4点の差が生じることになる。小数点以下をつけることにしたのもこのレーティング制を生かすためである。これにより、新しい書き手が上位になりやすくなり、より活発で面白い記事が書けるのではないかと思っている。

 また、レーティングにより、ぼくが気に入っていると思われる書き手が可視化されるというのも導入した理由のひとつである。

 今回、2017ステージ終了時点で、下記に該当する書き手についてレーティングを算出し、付加情報として2018ステージのシートに組み込んでいる。

 ・2017ステージ内で、単独作品が2作以上評点化されている書き手

 今回は上記を満たしている書き手のみ対象として、レーティングを算出したところ、面白いことがわかった。

 全体としてレートは5から7.5までの間に収まっている。すなわち、最大で7点以上減点される書き手が存在する。

 また、7を超えた書き手は2人のみ、かつ、6.6から6.4までに4人も入っている。それ以下になると比較的一様に分布しているが、この6名だけ非常に目立つので、せっかくなのでここでご紹介するとともに、ぼくはこの7を超えた2名を「まんまる双璧」、6.4から6.6に入った4名を「まんまる四天王」とかってに呼ぶことにしたことここで報告する。

 以下、プロレスの入場文句みたいな文章と名乗りを書こうと思う。編集の都合上敬称略です。すみません。

 

まんまる四天王

 

 ひとたびその領域に足を踏み入れれば、圧倒的高精細な文章が緻密な律動と共に襲い掛かってくる。手製本のこだわりからも感じられる肌理細やかな気配りと、どこか植物を思わせるような柔らかな文体が読者を幻想へいざなう。

 細密の庭師「灰野 蜜」(レート:6.400)

 

 ストーリーのサイズ感と構成力は抜群、読者に対するホスピタリティ満載、完成度の高いエンタメ小説を作り込む強みを持つ。ストーリーを器用に進めながら、幻想的な文体も併せて魅せる職人芸に注目。

 浪花のおはなし職人「凪野 基」(レート:6.427)

 

 調整された躍動感と高度な構成力によって生み出されるのは、生命力溢れる小説。文章全体から漂う高密度なエネルギーが、読者をエモーショナルに引きずり込む。作中のキャラクターが醸し出す独特の色気も読みどころ。

 セクシャルおじさんの伝道師「オカワダアキナ」(レート:6.560)

 

 圧倒的個性(≒ごうがふかいな)を様々な空間と叙述を駆使ながら、TPOを考慮して適度に薄めるタイプの書き手。その技術力と独特な世界観で右に出る書き手はいないのではなかろうか。それが錯覚かどうかを、ぜひその心で。

 水棲空間の女王「孤伏澤つたゐ」(レート:6.600)

 

まんまる双璧

 

 ぼくが師と仰ぐのは、己を貫くその精神力と、高い叙述力に包まれた、煌めく刃のような、美しくも苛烈な世界観。研鑽を重ね続けながら生み出される珠玉のファンタジーたち。そのあまりの美しさに誰もが圧倒されるはずだ。

 美しき預言者「咲祈」(レート:7.120)

 

 ひんやりとした金属の心地よさ、硝子の持つ硬さと美しさ、そして土のあたたかさ。これらをすべて克明に、ことばにすることなく書き分けられることをぼくは知った。同時に、対比的にかたられるのは、ひとのあたたかさであることも、ぼくはこの人から知った。その絶妙な世界観と語り口は表裏一体にして完成されているといっても過言ではないだろう。

 空気の探究者「佐々木海月」(レート:7.333)

 

 ということで、前ステージで3度記事化され、83点という歴代2位タイの最高評点をもつ佐々木海月氏が最高レートで、その値が7.333となる。つまり、今後佐々木氏の作品の評点については、7.333点を引いたもので序列化するということである。これはかなりのハンデになるのではと思われる。

 それ以外にも、5点台からレートは存在しているので、該当する書き手の作品は同じように総合点からこのレートに該当する点数を引いた値でシーズンレースに参加する。もちろん、点数自体は総合点が素点となる。あくまでシーズンレース上でのみ、このハンディキャップが存在するという話だ。

 

 という形で、まずはテキレボ6シーズン番外編、みんなのごうがふかいな展特別シーズンから行っていきたい。これも2018ステージの評点方式を用いるが、一部、というかGF点に傾斜をかけることで2018ステージの統計からは除外したい。詳しくはその記事に述べることにする。

 

 寒い。寒すぎてサムスになる。