かーびぃのメモ帳

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「みんなのごうがふかいな展」の結果について

 どうもかーびぃです。この枕詞が予測変換されないくらいにはここを更新していなかった。

 ということで、お久しぶりです。ようやく、先回のテキレボ内企画「みんなのごうがふかいな展」に参加した作品すべてを読み終わったので、その簡単なコメントつきの紹介と、全体の概要をとりまとめたいと思う。

 

 なお今回の評点については、前回ご紹介した2018ステージ評価方式にのっとり評点化したところに、ごうがふかいな点のみ傾斜をかけている。具体的には素点を0.6倍したものに20点をプラスして上げ底をはかり、かつ、ごうがふかいな点での差別化が難しくなっている。このGF部門での差別化が難しいというのがミソで、なかなかに面白い展開になったのだが、試験的な部分もあるので、評点は原則非公開とし、下記の通り統計情報の標示および「全体評点で1位(みんなのごうがふかいな展初代チャンピオン)」と「ごうがふかいな点が最も高かった(ごうがふかいな賞)」もののみ該当作品を紹介するシステムとしたい。どちらも該当作品の著者には1かーびぃポイントをプレゼントします。

 

「みんなのごうがふかいな展」統計情報

 参加点数 10作品

 平均評点 122.9196

 最高点 136.946

 最低点 112.456

 ごうがふかいな点の最高(素点) 40

 (※平均/最高/最低は200点満点、GF点は50点満点)

 

 総評としては、やはり参加者がおもいおもいのごうがふかいなをぶつけてきただけあって、かなり白熱した戦いになった。また、作者のごうがふかいなとぼくが思うごうがふかいな、それらがみなそれぞれ違っていながらも理解可能な領域にあるというところも地味な驚きである。また、このシーズンがほかのシーズンと最も異なるのは、「不特定多数から読むものを押し付けられる」という部分であり、希望通り買ったものを読んで評点化するのとは大きく異なる部分での難しさがあったことをここに付け加えたい。

 特に、初代チャンピオンとなった作品と2位の差が非常に僅差で、その差は0.2点強しかない。小数点以下の評点方式は今回が初めてとなったが、それもあって史上初の接戦であった。

 さて、その各作品を紹介していきたいと思う。

 なお、拙作である「妄想(略」については割愛する。

 

 1.「灯色の風景」著:転枝(木の葉スケッチ)

 転枝氏のマスターピース的作品。小説後半の感情の爆発に作品の力点すべてが集中しているという意味で見事な中編だと思う。これが転枝氏のごうがふかいなである、という強いエネルギーをひしひしと感じるような純文学タイプの作品。

 

 2.「灰が積もりて嵐が来たる 絶命のユーフォリア Episode0 + trial」著:柏木むし子(むしむしプラネット) ごうがふかいな賞

 GF点が脅威の40点を記録した、ごうがふかいな賞を獲得した作品。トライアル版ということで序盤のみであったが、その圧倒的な”圧”がすさまじい。むし子氏はごうがふかいなを「性癖」と読み替えたようであるが、そこでひとつ、いや無数の筋をこの短い文章の間に収めきっているというのはもはや感服以外の何物でもない。続きも刊行されているようなので、このトライアル版を読んでびびっと来た方はぜひ。

 

 3.「神送りの空 -人の願い 神の願い-」著:唯月湊(神様のサイコロ)

 ハイとローを可変的に器用に織り交ぜたような、いわばトランスミッションファンタジーとも言うべき、スタンダードでありながらプログレッシブな雰囲気を併せ持つ不思議な作品。ファンタジー空間でありながらライトで親しみやすいキャラクターの語り口が強い引き込みを持っており、第1巻としてよくできた作品だと思う。次の展開への引っ張りにも余念がない。著者の唯月氏は、別名義で「梅に鶯」に参加している書き手なのであるが、唯月氏の書き手としての強みが存分に発揮されており、それであるがゆえのごうがふかいなが顔をのぞかせている。

 

 4.「日々是奇怪」著:三谷銀屋(UROKO)

 個人的にはこれが最ごうがふかいな賞なんですけど、評点化するとなぜか違ったのでこう自分でも不思議。小噺のような短編が並ぶが、そのどれもが高い構成力を誇りながらきっちりホラーの一面をのぞかせるという、三谷氏のカラーをしっかり表現している、氏の名刺代わりの一冊であると感じた。性癖とも文体のくせとも違う、三谷節のような独特の感性が光る作品集。これぞごうがふかいなである。

 

 5.「身を尽くしてもなお沈み」著:シワ(蒸奇都市倶楽部)初代チャンピオン

 ということで、この作品が評点136.946点を記録し、僅差でトップとなった。今まで紹介したものは、どちらかといえばキャラクター性や世界観というものがどことなく作者とリンクしがちといった側面でのごうがふかいなであったが、この作品はそれらとは趣を異にしている。作品自体は長くない、中編といった具合のものなのだが、そのスチームパンク的な世界観や、主要登場人物のキャラクター性にも依存しない、すなわち、純粋なストーリー構成において、強烈なごうがふかいなを残していったところが初代チャンピオンに輝いた理由なのだと推察できる。スチームパンクとしても、百合要素の強い作品としても楽しめながら、筋の通った作品であるので、前記2つの属性が好きな方にはぜひおすすめしたい。

 

 6.「Fetishism」著:神坂コギト(友引撲滅委員会)

 問題作、というべきだろうか。異常性癖について書かれた短編集なのだが、なんだろう、これが一番スタンダードにものを書いているなあという感想しかない。それくらいほかの作品が「ごうがふかいな」に傾倒しすぎていて、ものを書いているという感覚がないのである。神坂氏は人間がもつ「業」(≠ごうがふかいな)に迫るような作品が目に付く。この作品は、まさに氏の直球、それも剛速球であり、異常性癖短編集という異色の作品ながら、もっとも真摯にスタンダードに直進している文体で描かれているというのがミソなのだろうなと思う。今は活動を休止しているようであるが、活動しているのを見ることがあったらぜひ手に取ってほしい。

 

 7.「Cis2 サンヤー号にのって」著:新島みのる(ひとひら、さらり)

 この第1巻をテキレボ6シーズンで紹介したところだが、児童文学風のこの作品がなぜごうがふかいなであるのか、読み始めるまで、というか全体の半分くらいまで読んでも全くぴんと来なかったのだが、それは突然だった。この作品をこのタイミングで書いたこと、書けたことそのものが、氏にとってのごうがふかいなであったのだ。1巻とは打って変わって、複雑な世界観と繰り広げられる人間模様が氏の世界に壮絶な奥行を与えている。この作品は航海という行為が全体の軸となっているのが、作品のストーリー構成や語り口、そのすべてがまさに航海を表しているということに終盤で気が付いたわけだが、これほどまでに複雑なごうがふかいなをごうがふかいなとして認識し、あまつさえこの企画に参加してくださったことに感謝の念しかない。物語の途中というところでなかなか薦めにくいところであるが、かなりの力作であることは間違いない。

 

 8.「因果者の宴」著:高麗楼(鶏林書笈)

 韓国のポップシーンを見つめてきた著者によるエッセイ。氏が韓国という国に興味を持ったきっかけから、流行歌などの文化の変遷を分析しつつ、自分の心に残っている作品を紹介する、というスタンダードさを持ちながら、着眼点に独特な個性を感じるところが素敵である。軽やかでありながら興味深い読み物だった。

 

 9.「射場所を求めて 今田ずんばあらず短編集 大学の章、一」著:今田ずんばあらず(ドジョウ街道宿場町)

 「イリエの情景」でおなじみ、ずんばニキこと今田ずんばあらず氏の大学時代の作品ダイジェストとインタビューが合わさった骨太なよろず本。これを読むと、「イリエ」では見せなかった多彩な部分が見え隠れしている。氏の創作スタイルはともかくとして、七変化にも近い、多ジャンルを書きこなすというそのバランス力に関してはかなり秀でているものがあるのではないかと思う。人間、頑張ってもそれほど多くのジャンルを書けるものではない。気がつけばひとつに収斂してしまう人が多い中、この作品集では多くの顔がそこにある。絶版だが、後々秘蔵本になるだろうと予想できる作品集である。

 

 以上が、ごうがふかいな展特別シーズン参加作品の紹介である。

 2018ステージも後半になってようやく、シーズンレースを開始するという腰の重さであるが、どうにかまた、今年中にはすべてまとめおえることが出来ればと考えている。

 ということでよろしくお願いします。

 

 ラブホアンソロと文フリ東京シーズンについてはもう少し時間をいただきたい。