おもちくんのメモ帳

球体の生物が日々感じたことをつぶやくよ!

反転する概念のひねりで身体がおかしくなったら

 どうもおもちくんです。

 さて、文フリ京都シーズンの選外まとめをかけそうなくらい溜まってきたので、ここにちょっとまとめたいと思う。

 今回は選外まとめ記事は3,4個出す予定だ。とにかく、これが最初。

 

リビングウィルの約束」著:小雨(アメノトロニカ)

 ある少女を救うために時を止めた主人公。いつしかそれを忘れ、終わりの直前を永遠に過ごし続けるのだが……という話。なんだか、RPGをクリア目前の一番楽しいところで止めてしまうあの感じがとてもよくあらわされているなあと思った。絵本なのだが、色味がないコントラストのある画と、途中に仕掛けられているギミックがとても考えさせられた。エモーショナル。

 

「Black Sheep in the Cage ~Some of Crimson~」著:神谷アユム(青猫のすみか)(レート:B)

 でました、熱いダークファンタジーBLことBSC。今回は世界観というか彼らのいる空間に深い奥行が広がったように思う。あとつくづく思うのだが、神谷氏の文体はぼくの好きなライトノベル作家である綾里けいしの重量感を極限まで削ったみたいな感じでとても読みやすいしエモーショナルだなあと思う。これもまたエモーショナル。

 

「VS ANOTHER」著:樹真一(非流動的なお茶会)

 隣のサークルだったのでお買い求めした掌編。もう片方の長編とおそらく世界観がつながっているのだろうと思う(タイトル的に)。特殊能力をもった女子高生が頑張るはなし。ライトノベルで世界観がすっと入っていけるところがよかったなあと思う。本編はまだ読めてないです。

 

「Phenomenon to be quietly」著:私派ぼくら

 初期衝動。まさに初期衝動という言葉そのものを数千回積分したらこの本になるんだと思う。懇親会で最後の1冊だったのを貰ってきた。ある意味では純文学という者のひとつの到達点ともいえるような気はする。それは素っ裸で釘バットを握りしめて東京タワーを上るようなアナーキーな感じで、とにかくごうがふかいなの目白押し。爆発的なパワーという意味ではこのシーズンでも上位になるのだろうなとは思う。その割に表紙が黒を基調とした落ち着いた感じなのがちょっと気になった。中身はだいぶ派手。

 

「ひとりぼっち病うさぎ」著:madelene(モノカキヤ)

 衝動という意味ではこれも負けていないような気がする。この小説は短いけれどまど氏の技巧力と作者としてのヘキを出すのに十分な量で、ある意味で名刺代わりにできるものだなあと思った。作中にでてくるちびた鉛筆のような、象徴的でそれでいて全体に漂う「供養」感。インパクトと直球。じつはもう1冊まど氏のを持っているがこれが本当にとんでもない。この記事には書けない。つまりそういうこと。

 

「白鴉 29号」著:白鴉文学の会

 ガチガチの文芸誌でした。純文学専門なのだろうか。いずれにしても技巧力はおそらく抜群で、どれくらいかというと平均的な合同誌の中でこれは、というひとがだいたい3冊に1人くらいいるんだけど、そういう人がみんな集まっているみたいなレベル。ここの人たちが大阪桐蔭の野球チームだとしたら、さしずめぼくらは、地元の公立高校の9人しかいない野球部員のひとり、くらいの差がある。みんながみんな、文学というものが何かを掴んでいて、それが共有されていて、そこに向けてどう光を当てていくか、みたいなレベルになっている。こんな人たちと新人賞で戦いたくないなあ、と思った。その在り方にたいしてぼくは何かを言うことのできる立場にはないが、信じることの強さというものを確かに知ることのできるすさまじいものであったことはここに書いておくべきで、中でも大新健一郎氏の「ARUND37°N」は、世に何か爪あとのようなものを残したい、ぎらぎらした書き手であればぜひとも読むべき作品であるように思う。個人的には最初と最後の小説が圧倒的で、この人たちはきっと大きな文藝賞でも最終選考まで残るような実力なのだろうな、と納得できるくらいだった。

 

 ということで、なかなかにレベルの高い激戦が繰り広げられている文フリ京都シーズンであるが、評点がかなり面白いことになっているし、この中でももう少しで暫定3位になっていたものがある。しかも後半に高レートの書き手を多く配置しているので、これからもさらなる激戦が予想される。本番はこれからだ。

 まだまだ読んでいくぞ。