ハロウィンの次はイースターなのか~~~そうなのか~~~~~~やぶへび~~~~~~
どうもかーびぃです。
頭の悪いタイトルしか思いつかない体になってしまった。
さて、さっそくですが、文フリ金沢シーズン、惜しくも選外になってしまった同人誌のみなさんについて、まとめます。
「ワールドエンドワンダーランド ぼくらの寮と町と魔女について」
著:武田(土星文庫)
個人的にものすごーく設定がツボだったし紹介文も端的だったので買ってきた一冊。設定に偽りはなく、最後まで一貫して海水面の上昇により限界集落化しているある地方都市の中で、間もなく廃校になる男子校の生徒たちを中心とした出来事が、ホラー風味に、淡々と起きていくさまを描いている。オチが納得のいく形で表現されており、出てくる登場人物がとても血が通っている感じがして、特にぼく自身が男子校の人間だったこともあり生徒の会話がかなりそれらしかったのが驚きだった。そう、この小説の不思議なところは、男子校の、それも衰退する世界で滅ぼうとしている男子校の、最期の日常をひとつの事件を軸に淡々と描いているのだが、文体があまりにも淡々としすぎているがために、なんとなく語り手は女性なのではないかという気がして、読み終わった後にすごく不思議な感じがした。別に男性が書いていても何も不思議ではないし、むしろ、なんというか、男子校特有の会話の流れも節々に出ているあたりが、こうリアルすぎない程度にリアルなわけで、逆にそういうところがこう、男子校出身の男性じゃなさそうだな感があるのかなあ。ここはよくわからないです。題材の組み合わせがとても面白かったし、素敵な雰囲気の文章でした。選外になったのは、単純にこう、インパクトというか、淡々としすぎちゃってるというか、ストーリーがこう、印象に残らない感じがしたんだなあたぶん。感情に訴えかけてくるのを極力排した感じがするのが、なんというか心に残らなかったのかもしれない。かもしれない運転。
「Black Sheep in the Cage ~The first incident~」
著:神谷アユム(青猫のすみか)
いやーまさかのって感じ。このかーびぃ氏がまさかド直球のBLをつかまされるとはって感じですよ。正直最初の1ページで買いだなと思ったくらい、主人公に「ごうがふかいな」を感じたので買ったんですけど、それは予想通りだったんですけど、途中から「あれ?これもしかしてド直球BLでは?濡れ場めっちゃでるタイプのホモなのでは?」とか思い始めて、それは杞憂に終わったわけだが、なんというか、それ以上にド直球BLとしか表現できないくらい、「うわああああああああああ若い!!!!!!この作者若い!!!!!たぶんすげー若い!!!!!!!!!でもごうがふかいな度は高い!!!!!!!!!!」って感じが途中からすごいしてきて、というか設定も導入もどんどん「そういえばあれだな!!!!!!」みたいなわたしの頭の中のカミナリがですね、後追いでツッコミをいれてくるわけですよ。
とまあなんかすごいdisり風な評をしているけれども、ストーリー的にも設定的にもてんこ盛りであることを除けばとても読ませる感じの流れだし、なによりこの人の文体、非常に感情に刺さる!すごい!刺さる!それがこう、ぼくがこの小説を「ド直球BL」と表現した理由で、こう、主人公と相棒のセリフのひとつひとつが!刺さる!すごい!刺さる!そしてそれを支える地の文!お前!お前が刺してどうすんだってくらい!刺さる!かーびぃ氏蜂の巣なんですけど!!!
はあ、疲れる。この作品、読むのも紹介するのもすげー疲れる。
いやもうなんというか、こう、すごいよい腐女子の妄想を見たというか、もうそうとしか言いようがない感じのやつなんですよ!妄想だけに!妄想だけに!!!!
そういう感じの本です。クトゥルフが好きなのかな?って感じの。
「女の暮らし」著:上田聡子(スプーンと鈴)
この中で一番おちついている。すごく商業っぽい感じがした。というか、これ、たぶん本屋で売ってても買う。それくらい隙のない小説群。端的に言えば、現状にめげそうになりながらも、支えを失いそうになりながらも、それでも強く生きていこうとする現代の妙齢の女性たちを描いた現代小説。登場人物の描写がとてもなめらか。表現力も卒がない。すごくありふれている話を「ありふれていますよ」とアピールしながらもしっくりと読み進められるように構成されている。文フリ金沢で出会った書き手の中ではおそらく一番場数を踏んでいるように思われるし、いままでかーびぃが見てきた同人の書き手の中でも、こと現代小説に限ればここまで克明に空間と人物を同時に描写しつつ、練られた展開で読者を引き込み続けられる書き手はほとんど思いつかない。まさに、歴戦の戦士のような、底力を思わせる強い書き手だった。
それだけに思ったのが、「あ、でもそれだけなんだ」っていう。これだけの強い力と隙のなさを持っていながら、強力なインパクトをこちらに残さない。その上品さ。でもそれが、なんというかそこが、残念というか、この短編集全体におけるそれ自体のテーマというか、めちゃくちゃ言葉にしにくいんだけどあえて乱暴に言えば「お上品すぎる」感じだろうか。
とてももどかしいです。
「Dear friend of Dawn」著:相楽愛花(素敵な地獄)
もうこれ、さっきの逆!センス!そうすごいセンス!この人の紡ぎ出す言葉と、立ち向かう闇的ななにかがもうツボだった。ツボ過ぎて読み終わってからもうひとつの方を買ってしまった。そしてそっちの方が実はランクインしました。
設定も深いところから浅いところ、なかなかに素敵なのだが、この本に関しては出てくる二人の女性のキャラ立ちと、出てくる夢の不気味さ。このマテリアルだけのすごいシンプルな小説なわけですが、この二つの素材がものすごく強い。もうこれは寿司です、SUSHI。ネタとシャリ、以上!それだけで食事は成り立つ!そしてそれも豪華なやつになるんだ!っていうその心意気と素材そのものの強さなんですよ。
すばらしかった。そして取っていかなかったやつが実は最新だったっぽいという事実。
くぅ~疲れました
なんつって。我ながら結構な労力を費やしてしまったが、次からはランクインした3冊について、例によって例のごとくひとつひとつ紹介します。
それではみなさんごきげんよう。