ひざのうらはやおのメモ帳

サイコパスクソメガネが祈る墓標みたいなやつ

ものの境目がはっきりしているとは限らない

 どうもおもちくんです。

 

 文フリ前橋シーズンは、京都シーズンとは打って変わって、物静かだけれども確かな力のある作品が多かったように思う。先日紹介した3位の作品や、この2位の作品はその最たる部分だろう。

 

 声優で歌も歌っている、中恵光城氏の同人レーベル「ABSOLUTE CASTAWAY」の中の曲で「桜花狂咲」という曲がある。9分近い、歌モノとしてはやや長い作品なのだが、曲全体に漂う幻想感と、徐々に盛り上がっていく構成が非常に妙で、聞きごたえのある曲で、このレーベルの中では指折りの完成度ではないかなと思うのだ。

 

「わたしのほおずきさま」著:茉莉ゆんゆ(空に笑う)

 文体:29 空間:32 (半客観分野:61)

 感覚:30 GF:38 (主観分野:68)

 闇度:0.532 レート:なし

 総合:129.532(文フリ前橋2シーズン 2位)

 

 「ほおずきさま」という離島の信仰行事を軸に、スタンダードな線を持ちながら展開されていく現代ファンタジー。この、現代ファンタジーというジャンルがものすごくいい得て妙で、ぼくらはいろいろなものにこの現代ファンタジーということばを当てはめてしまうのだが、この作品は現代ファンタジーという舞台性をもちながら、文体はどちらかというと幻想小説寄りで、かといってしゃちこばり過ぎない、流麗かつ平易な文章で綴られているところが特徴的である。ぼくは幻想小説があまり得意ではなく、なぜかというと読解力が極端に低いからで、つまり読みにくい文章は苦手なのだが、この作品のすごいところは、幻想小説特有のそういったえぐみを完全に排除して、柔らかく読みやすい文章ながら、ファンタジー、ではなく幻想と形容すべきくらいの強固な世界観の「ゆらぎ」を、感じさせてくれるところにある。

 いままでぼくは、5年以上いろんな同人誌を読み続けてきて、このシーズンレースという方式で大量に読み込むようになってからも2年が経つというのに、これほどえぐみがなく、流麗で、それでいて文学性を失っていない書き手に今ここで出会ったというところに非常に驚いている。創作同人の世界は限りなく広いということを実感しながら日々生きてきたつもりであったが、どこかに慢心があったことの表れである。深く反省したいし、この茉莉ゆんゆ氏を推していきたい所存である。

 すべてを読み終わってから、もう一度最初から読んでみてほしい。背筋がぞっとするような感触があると思う。

 

 というわけで、今回一番驚かされた作品であった。

 次回は、文フリ前橋シーズン1位。前回もとあるシーズンを制した覇者が、ごうがふかいな賞をとったあの作品を紹介する。