ひざのうらはやおのメモ帳

サイコパスクソメガネが祈る墓標みたいなやつ

失った血液が鮮血かどうかなんて誰も気にしない

 どうもおもちくんです。年があけたところで、みたいなところはあるので普通に始めます。

 文フリ金沢シーズンをすべて読み終わったので、さっそくではあるが惜しくも記事化から外れてしまった作品について、コメントしていきたいと思う。

 

「二十光年ロボット」著:碧

 表題作ふくめ、SF風味が強い短編集。特に表題作が顕著なのだが、どの作品も、置かれている視点がかなりユニークで、独特の世界観がにじみ出ているのが印象的だった。ただ個人的には2作目の幕引きがすごくおもしろかった。こういうのが好きなのかもしれない。

 

「シズムアンソロジー」著:うさうらら 他5名(レート:1.000)

 装丁からその世界観を漂わせる、どこか耽美なアンソロジー。共通の設定を用いて創作されており、収録内容は、まさに百花繚乱、といった趣き。著者のひとりである紺堂氏が6.000のレートを保持しているため、それを書き手数6人で割ったものがレートとなっている。非常に強いこだわりを感じる。最後の一冊だったのでちょっとした思い入れもある。

 

「ごう散歩」著:繰り沼

 タイトルだけで買ってしまった。結論から言うとめちゃくちゃ面白かった。江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」の登場人物(郷田)からとられているらしく、「業」ではなかったか、と思ったが、そのスポット紹介と郷田のノリがなぜかツボにはまった。たのしい。

 

「移ろい」著:桜鬼(波の寄る辺)

 破格の大型新人。この方にはなんとなくこういうイメージを持っているし、今もそこから変わることはないのだが、その処女作らしい。らしい、というのは、どうしてもそうであるように見えないからで、もっとも小説を書いて初めての作品ではないにしろ、この精度の小説を集めたものが初めての個人誌だというのか……ということに尽きる。個人的には「此岸花」が好きかな。今後の作品が少し楽しみ。

 

「サボテンの子どもたち」著:永坂暖日(夢想叙事)

 隣の隣だったか、テキレボなどでよく見るお名前だなあと思っていつかは読んでみようと思い手にとったのがこれだった。短編集なのだが、登場人物が全て関連付けられていて、同じ世界線の中での話だとわかる。各話の語り、に相当する、書き手の目線のやわらかさがすごく印象的だなと思った。どれもこれも非常に地に足のついたはなしであるなか、「銀杏夜話」だけがややファンタジックな世界観で、ちょっと意表を突かれたのと、それでいてなおオチまでしっかり優しい味、というのがとても心に残って、これが文体というものか、と気づいた。そういう意味でものすごく完成されているのではないかと思う。

 

「Black Sheep in the Cage ~その末裔は悲劇と踊る~」著:神谷アユム(青猫のすみか)(レート:B)(ごうがふかいな賞

 感情の銃撃戦を得意とする神谷アユム氏の長編BLダークファンタジーもこれで4巻になるが、これは氏の作風を極振りしたものだった。特に終盤の展開がすさまじい。ミステリやダークファンタジーの流れでいえば完全に王道に近いパターンで、その上でこの感情の応酬が繰り広げられているのは、凄まじい臨場感がある。こういう文章はぼくには一切書けないので本当にうらやましい(本音)。

 氏のシリーズ作品は徐々に相対的な評点が上がり続けているのが本当に面白いところで、逆のパターンはよく見るのだが、順調に右肩上がりをつづけているのはこのBSCシリーズのみである。今回、すわ記事化か、と思われるような評点だったのだが、惜しくもラインを外れてしまった。次巻はどうなるのか、楽しみである。

 ということでこれがごうがふかいな賞。

 

 いやはや、こうして並べてみると個人的に壮観だなあと思う。というのも、今回は後半の作品で順位が逆転することが多く、記事化間違いないと思っていたようなものでもラインを外れてここでコメントしているものが異常に多かったからで、予想通りの混迷した結果になったな、というのが正直な感想である。

 さて、次は3位の作品の記事である。今しばらく時間をいただきたい。