ひざのうらはやおのメモ帳

サイコパスクソメガネが祈る墓標みたいなやつ

散っていった遺骨に黙とうを

 どうも、ひざのうらはやおです。

 ずいぶん時間が空いてしまった。この作品にたいして、ぼくは評をすることが難しい状況にあったからである。何も、この作品だけのはなしではなく、すべてのコンテンツに対してまともに何かをコメントできる状況になかった。

 さて、言い訳はともかく、こうして戻ってきたからには、ふたたび始めなくてはならない。

 

 THE BACK HORNの曲に「レクイエム」というものがある。大げさに退廃的な歌詞が好きで、よく聞いている。このバンドの方向性をがっつりと足固めしたような曲だ。

 

「input selector ISSUE:Late2007」編:言葉の工房

文体:30 空間:30 (半客観分野:60)

感覚:34 GF:31 (主観分野:65)

闇度:0.496 レート:0.386

総合:125.110(静岡文学マルシェ2シーズン3位

 

 静岡文学マルシェを主催している、添嶋譲氏のサークル「言葉の工房」の編集した合同誌である。一般的な文芸誌のような手に取りやすい装丁で、主催の作品ということもあり手に取った。

 寄稿者はぼくの知っているひとから名前も知らないひとまで様々。読んでいても、その文体に様々な表情があったり、書き手が同じであっても演出によってここまで色が異なってくるのだ、と思い知らされたり、装丁からはむしろ想像がつかないくらいの濃い同人誌であった。

 それだけに、面白いもの、そうでもないもの、なにかひっかかりを感じさせるものなどいろいろあるわけだが、最も印象的だったのは雲鳴遊乃実氏の「破壊神へのラブ・ソング」であった。マクラ曲に選定したものは、この作品の雰囲気に引きずられている。「破壊神へのラブ・ソング」は、主人公が死に、(主観における)世界が滅びていくまでの情景を、主人公自身の心情や過去の記憶などを巧く織り交ぜながら非常に生々しく、赤裸々に、美しく描いている短編だ。極めて雑にいってしまえば、「セカイ系」の亜種のような舞台設定なのであるが、その独白の心地よさが端的に言って非常にすっと入っていけるようになっていて、おそらくぼくと氏はどこか通ずるものがあるのだろうな、と思った。

 実は、雲鳴氏はぼくの作品をいくつか読んでいただいていて、その感想を記していただいている。特に、最近著「平成バッドエンド」に対する評において、

どの小説、エッセイも、僕は素直に受け止めることができた。

年代や居住地などは意識する必要もなく、ごく率直な感想として、氏にはちかしい印象を抱いていた。

byebyecloud.hatenablog.com

 と語っている。氏の「破壊神へのラブ・ソング」を読んで、ぼくも似たような感触を得たので、今後氏の作品をいくつか読むことになるのだが、おそらくはどこか似ていて、それでいて全く違う景色が広がっているのではないかと期待している。

 

 この合同誌は小説以外にも、短歌やイラストとの融合など、文芸という枠の中でも多様な作品集となっていて、非常に読みごたえがあった。125点というのは、合同誌としては非常に高い評点で、本ステージのシーズンレースとしては、現在「N.G.T ナンバーガールトリビュート」「常世辺に帰す」に次いで評点の高い合同誌となっている。静岡文学マルシェは第3回も盛況のうちに幕を閉じたとのことだが、その後でもこの作品集のような、シンプルでかつ同人誌と呼べるような意欲的なものが出ていくような世界であってほしいと、ぼくは切に願う。

 

 2位となったものも、様々な感情が入り混じっているので、しばらく時間がかかるものと思われる。

 できれば、期待をしないで、待っていてほしい。