かーびぃのメモ帳

球体の生物が日々感じたことをつぶやくよ!

長い長いみちのりを歩いてもその先に何があるのかはわからない

 

 どうもかーびぃです。

 

 文フリ大阪まであと2日となりましたが、まだまだあまぶんシーズンが終わりません。30作品以上買ってるし、そうすると文フリ東京の倍あるわけでまあしゃあないんですが、にしたってようやくのこりが10を切ったかなという感じで、なんとか後半戦に入ってきたのかなと。

 

 というわけで、今回も選外まとめ。その4になると思うのですが。今回は評点なしで。

 

「真夜中のころ」著:高梨來(午前三時の音楽)

 いやーもうすごいよかった。ド直球恋愛小説で一撃で死にましたよほんと。來さんにリアルで遭遇した感じがものすごく出ているという意味で非常にごうがふかいなの強い作品だったと思います。72の壁をぶち抜いてきているあたり、他のシーズンであれば余裕でトップだったと思われるが激戦極まりないあまぶんシーズンでは選外に。というかほんとこんな作品があまぶんには多すぎるんです。他のシーズンがくすむレベルの強い作品ばかり。

 BLではないんですけど、だからこそそれ以上になんだかリアルで、あたたかくて、主人公がとてもかわいいなあとか思いました。

 

「50/50」著:土佐岡マキ(眠る樹海堂)

 ミステリ風のゲーム理論極めました異能バトルみたいな感じのやつ。いや説明になってないが。緊迫した風景とオチの対比が面白いなあとは思いつつも、かーびぃ氏の悪い癖でこういった作品の全体構造はわりとすぐ勘づいてしまい、おそらく後でひろわなくてはならないことばとかもすぐに拾ってしまう悪癖のせいであんまりこう入っていけなかったし、それがジャンル不利を引いている可能性はかなりあるんですけど、でも面白いです。この探偵コンビの構成が非常に素敵。シリーズものならちょっと気になるなあ。

 

エフェメラのさかな」著:凪野基(灰青)

 これ、ほんとすごい。めちゃくちゃ完成度の高い短編集です。海と人魚にまつわる短編集なんですけど、どの話も切なくて、どこか官能的。そして出てくるキャラクターの魅力がすごい。凪野さんは「ヴェイパートレイル」でテキレボ5シーズン3位になってるんですけど、この人の魅力はとにかく小説全体がものすごく緻密に作られていて、歯車とゼンマイで出来た、寸分たがわぬ動きをするからくり人形のようで、読んでいて本当に強い力を感じました。もっとも何がすごいってこの作品実は75点なんですよ。でも選外ってなんじゃそれでしょ。コンセプト短編集としてのクオリティでいえば激戦のあまぶんシーズン登場作の中でもトップになるのではないかな、と思います。それくらい緻密で、短編のひとつひとつはもちろん、その中の一文一文にまできっちりと作り込みがなされた作品です。もはや職人。

 

「ポエムの墓」著:にゃんしー(おとそ大学パブリッシング)

 まずインパクト。この作品にはもう文体からなにからなにまでぜんぶポエムがすごいです。詩っていうよりかはやっぱポエムなんです。感情から現状から人間からなにからなにまで、最終的にはポストアポカリプスみたいな様相を呈していても作品の根底にはポエムが眠っていて、それがずっとバンドのベースみたいに延々と静かに主張し続けているっていう。めちゃくちゃな演奏をつづけていようと、にゃんしー氏がにゃんしー氏たらしめているその要素がポエム、っていう感じの純文学。いやほんと好き。これ好きですわ。エフェメラとは全然別の方向で、これはもう誰にもまねできないセンスみたいなやつです。さすが尼崎の文学モンスターことにゃんしー氏ですよ。え、なぜエフェメラと比べたかって?おなじ75点だからに決まってるでしょ。

 

「海のとなり」著:古月玲(サテライト!)

 海を題材にしたもの、ぼく結構買いあさっちゃってるんですけど、これも「永遠まで、あと5秒」(文フリ東京シーズン首位)の古月氏によるもので、その文体は非常に澄み切った清浄な世界が広がっている。わずかなページ数に収められた掌編たちは、どれもこれも人間の生ぬるさから離れて描かれたもののような気がしてならない。すごく美しく、どこまでも心地の良い無機質な冷たさが支配する世界に深く深く没入できます。

 

 ということで、以上5冊。

 ほんと、どれもこれも美しいし、信じられないくらいすごい作品ばかりで、本当に語彙力を失いまくっている。今上位となっているものたちなんか、ぼくは果たして記事にして語ることが出来るのか不安なくらいだ。

 だが、まだまだ有力な書き手は残っている。番狂わせも十分に起きるかもしれない。

鉛の弾が死因になるとは限らない

 どうもかーびぃです。

 

 というわけで、あまぶんシーズン選外まとめその3です。今回はもう70点以上の作品しかないので、そのすごさがわかっていただけるよう、評点も同時に公開しながらのコメントとさせていただきたいと思います。(なお、内訳に関しては伏せさせていただきます)

 なお、この調子だとあまぶんの選外まとめだけであと4本くらい続きそうです。

 

 では、さっそく。

 

「嘘の街を出ていく」著:らし(おとといあさって) 74点

 体裁からして非常に興味をそそられる不思議な本であったが、中に収められている物語は美しく完成されており、それでいて強烈な読後感をもたらしてくれる。70点以上ともなると、どこかが尖っているタイプの作品がほとんどを占める中、この作品は心の底から何か、あたたかいものがこみあげてくるような、不思議なテイストで、完成度が高く全体的にバランスが良い。実はかなり最初の方に読んでおり、しばらく2位にとどまっていたがここ数冊の強力な布陣の前に選外へと押し出されてしまった。というか74点で選外ってどういうこっちゃ。

 

「キスとレモネード」著:彩村菊乃(キスとレモネード) 70点

 このタイトルは本当に名は体を表すといったような、この作品集の読後感そのまんまで、つまるところ非常に甘酸っぱくも爽やかで美しい小説がつまりに詰まった短編集なのであるが、個人的には巻頭作の「緑のまにまに」の空気感が好き。カップルのいちゃつき、というと少しアレかもしれないけれど、恋人同士のやりとりと心理描写、みたいなのが非常に細密で臨場感あふれる感じになっていてこちらも少し気恥ずかしいような、そんな気分になる。これも非常に完成度の高い同人誌と言えると思います。もうほんと記事にならないのが不思議なんですけど、この時点で上に何冊もあるっていうのがもうほんと何このシーズンあたまおかしいんじゃねえのって。

 

「手ノ鳴ルホウヘ」著:紺堂カヤ(つばめ綺譚社) 73点

 これ!!!!!!!ほんとねえこれの記事を書きたかったんですよほんと。ぼくが連載しようとしている青春バンド小説(ごうがふかいなともいう)「エイジドボーイ・シンコペーション」のガチ版というか、もうほんとこれはすごいとてもよい青春バンド小説ですね。視点は2人のものを入れ替えながら書いてるんだけど個人的には奏ちゃん(ドラム)が主人公かなと。彼女のキャラクターとバンドの軸となる深水くんの音楽馬鹿っぷりが激しい。これが野球になるとそのタイプの漫画はもうわんさかあると思うんですけど、Jロックの文法の中でこのような作品が出てくるということ自体ぼくはすごいなあと(自分でも書こうと思っていただけに)。みなさまぜひご拝読ください。

 おそらくぼくがここまで読んだ同人誌の中で、小説単行本というジャンルの同人誌それ自体のクオリティとしてこの「手ノ鳴ルホウヘ 完全版」以上の作品は見たことがありません。絶妙な尖りと爆発的な若さというエネルギー、そしてそれだけでは終わらせない強固な骨組み。これぞ同人誌なのだというつばめ綺譚社渾身の作品ではないかと。

 ひねりとまっすぐさ、その両立がこの作品の最も克明に描けている部分かなあ。とにかくすばらしいです(語彙力)。72の壁を破壊してきた数少ない作品です。

 

「野をゆくは魔女と景狼」著:まるた曜子(博物館リューボフィ) 72点

 まるた曜子さんについてはこう、少し遠い存在だったので今回でようやく本を手に取る勇気が出たので、委託という形ながら手にしてみたのですが、これに関しては非常に高いレベルの「ごうがふかいな」だと思います。そしてとてつもなく美しい物語です。なんとなくのイメージなんですけど寒々としたフィヨルドやら針葉樹林やらが延々と広がっているスカンジナビアの大地がこう、何度も頭の中に出てきて、そんな中で魔女と狼がどのようにして生きてきたのか、そしてどのようにしてその生を終えていったのかがよどみなく美しく綴られています。この力は恐ろしいと言わざるを得ない。あと巻末に付録されている交歓のシーンのなんというか、お互いめっちゃ幸せそうにセックスしてんな、みたいな感じがすげえばんばん前面に出ているように書かれていて、うわあ、うめえ、って思わず独り言を漏らしました。72の壁に阻まれましたがとてつもない作品のひとつだと思います。

 

 以上、非常にレベルの高い4点。これが選外まとめだということを忘れさせられる。

 そして文フリ大阪までに全部を読み切れない可能性が出てきた。その場合はあまぶんシーズンを先行させてから文フリ大阪シーズンをやりたいと思います。よろしくお願いします。

尖りは一辺倒であればあるほど単純になり、丸くなっていく

 どうもかーびぃです。

 

 さっそく。あまぶんシーズン選外まとめ2本目のお時間です。

 ここに載せることすら惜しいすばらしき同人誌たちを今回も紹介していきます。

 

「お母さん」著:鳴原あきら(恋人と時限爆弾)

 もう、すさまじい作品。かなりの「ごうがふかいな」を感知したわけなんですけど、本当にダークな意味での「ごうがふかいな」とはまさにこの本に収められている感じです。めちゃくちゃ簡単に言うと母と長女の確執、にもならない、というのは語弊があるけれども、まさに背負った業の深さ(ごうがふかいなではない)からくるわだかまりのような息の詰まる攻防が繰り広げられているといった感じでしょうか。この作品を読んだ人の中には「いや、攻防というか一方的な攻撃じゃねえの?」と思われるかもしれないが、それはどちらかのサイドに立っている状態での見え方にすぎない。「お母さん」の行動は確かに攻撃に見えるかもしれないが、一種の過剰防衛ではないかとぼくは思う。中編と呼べるほどの分量ではあるがその中に詰まった闇は濃厚にして普遍的。

 ちなみに、このシーズンで発覚した、ぼくの評点時のくせのようなもののひとつに「72の壁」というものがある。すなわち高評点のものであっても72点を超えることは難しい、という統計的事実だ。この作品も実をいえばその壁に阻まれたもののひとつである。つまり、現時点ですら、上位3作品はその壁をクリアしたものしか残っていない、ということでもあるのだが。どれほどまでに熾烈を極めるんだ、あまぶんシーズン。

 

「きょりかん」著:海老名絢(パレオパラドキシア

 文字通り、「きょりかん」について綴られた詩が並んでいる。みずみずしさと硬さを保った言葉が組み合わされ、読者と詩の間、詩と詩の間にも絶妙な「きょりかん」を保っていて、とてもとても切ないし、何かに突き動かされるような、そんな力がある。尖ったワードや凝った演出を使わずにここまでの詩集を作り上げること自体のすばらしさもさることながら、この作品集は何度でも読みたくなるような気持にさせられるという意味でも非常に強い。ちなみに70点超えでもある。

 

「運命も、閃光のきらめきも。」著:madelene(モノカキヤ)

 個性的というか、端的に言うといわゆるひとつの「ごうがふかいな」を絶妙に体現しているような陳列をしているブースがあり、興味深かったので手に取ってみた次第。装丁は素朴ながら随所にこだわりが見られ、また収められている短編も非常に「ごうがふかいな」であった。なんだろうジャンル的には「性癖系ごうがふかいな」って感じでしょうか。いや、ほんと素晴らしいです。シンプルすぎてどストレートに突っ込んでくるあの感じです。ブレーキ踏んでねえなみたいな。それでいてスピンどころか一切ブレがないから技術は高いんだな、じゃあこれ確信犯か、みたいな。すんばらしい。

 

「夜が濃くなる」著:豆塚エリ(こんぺき出版)

 個人的に「尼崎文学だらけ~夏祭り~」のキラータイトルのひとつだろうなと思ってわりと早いうちにゲットしたわけなんですけど、本当にこれはすごいです。想定からして恐ろしい。凝りに凝ってる。表紙と遊び紙がもう何このセンスやばない?って感じですよ。イケてるとかいうレベルじゃないですアーティストですよこれだけで。中身白紙でも買いますよこんなん。もちろん中身もそれに負けていない。意表を突かれるほどシンプルに表示されたテキストは読みやすさを限界まで高め、没入感をよくする働きがある(ようにぼくは思う)。先ほど述べた「きょりかん」とは別のアプローチ、別のモチーフであり、それを比することは全くできないわけだが、どちらかというとこちらは読めば読むほど深みに嵌っていくような言葉が並んでいる。すらりと情感をなでるのではなくかみしめるような。まさに夜が濃くなっていくような、手探りをさせられるような感覚を味わえる。すごい。これもかなりの強さを持っている。70点超え作品。

 

グランジナースの死」著:ひのはらみめい(ひのはらみめい)

 これもなかなかにパンチのある作品。読んでいるそばから読者の脳髄に文字の羅列で構成された触手を伸ばして思考をハッキングしてくるようなサディスティックな作品集。この作品の紹介としてシュールレアリスムと呼ばれているのを見たが、まさにその通りで、現実が伸び縮みしながらぼくらの身体に空いた穴という穴に入り込もうとする。そしてかれらは概念になるのだ。しかもずっと抵抗していると腕に注射を打たれ無理やり作者の概念を注入される。これから逃れるのはとても難しい。その概念とは主に「いきたい」の四文字で構成されているといっても過言ではなく、であるがゆえに美しくとてつもなく汚い。とにかくこの本の中に封じ込められている概念という化け物にみんな触れてほしい。それは、意外とあたたかいし気持ちがいいのだ。抜けられなくなるかもしれないくらいに。壁に阻まれたという意味で上位確実だった作品。

 

「白蜥蜴の夢」著:宇野寧湖(新天使文庫)

 正直、この作品はいまのぼくにとっては精神的にたいへんすぎた。テーマ的にもそれは仕方がないところがあるようにも思う。もし記事化されたならばそのあたりの対比だとかなんだとかを書き連ねるためにぼくのアレでコレなアレ経験をさんざんぱら書く必要が発生してしまうのだがどうやらそれは免れたらしい。サンキュー。わりと直球めの「恋愛系ごうがふかいな」だなあと思ってるんですけど、作中に出てくる白蜥蜴にも、そしてこの作品の「ヒーロー」(いわゆる一般的な創作ロールにおける「ヒロイン」の男性型という意味で)である明人にもかなり感情移入して読んでしまったんだけどたぶんこれぼくだけだと思うんです。いやそう思いたい。世の中にここまで気持ち悪いおっさんがそんじょそこらにいてほしくない。とにかくイケメンはいいぞ、あと作中人物全体的にハイスペだからかなトレンディドラマ感出てるのって思いました。それはそれで「業が深い」なんですけど。表紙のはしっこにしれっとR18表記を見逃したやつこれで3回目なんでそろそろちゃんと表紙を見ていこうと思います。これも72の壁で止まったわけで、まあ普通に考えて記事化するアレなんですけどこれが選外になるあまぶんシーズンマジなんなんだ。ほんと。おかげて助かりましたけど(精神的に)。

 なにいってんだこの球体の生物。

 

 というわけで、選外が確定した6作品について、書かせていただきました。

 ほんと、他のシーズンであれば記事化どころか普通に首位すらあり得るというとんでもないハイレベルな戦いが続きっぱなしなあまぶんシーズンなんですが。

 ようやく後半戦といったところで、まだまだ強力と思われるものを残しに残しまくっています。番狂わせも十分あり得るよ。

 

 というわけでぼくはねるぞ!

 

 

遠き地で誰かの喪失を悼む時、ひとは一番やさしい顔をしている

 どうもかーびぃです。時間がやばい。

 

 

 ということで、あまぶんシーズン、現時点で恐ろしいほどの激戦が繰り広げられているが、ここで惜しくも選外になってしまったものについてまとめていきたい。

 たぶん今回、選外まとめが4本か5本くらいできると思われる。

 

 さくさくいこう。

 

「(タイトル不明)」著:鈴木マヤ子

 手で綴じられたコピー本がとても印象的なのだが、裏表紙に勾玉の絵が描いてある以外に何も表題がなくタイトル不明としてとりあえず登録させてもらった。体裁としては詩集である。とても素朴で、それでいてなつかしさを覚えるような不思議な詩が並ぶ。趣向の凝らし方が独特な、素敵な本だなと思った。もうちょっと読んでみたい。

 

「浦の三毛猫」著:庭鳥/紗季(ペーパーカンパニー

 猫の写真が印象的な短歌集。表紙がよくて衝動買いしてしまった。よい。語彙力。

 

「斜陽の国のルスダン」著:並木陽(銅のケトル社)

 はい、出ました。会場ダッシュしてでも欲しかった今話題の。NHKでラジオドラマ化されるというものすごい小説ということを聞いて是非とも、と思って手に取った次第。その完成度たるや、最初の3行を読んだだけではっとさせられるほど。

 ジャンルとしては歴史小説にあたるのだろうか。モンゴルが台頭していた頃なので13世紀くらいの話(?)だと思われる。歴史は全然だめなのでもうちょい勉強してから、と思ったのだが、それを抜きにしてもこの物語は非常に引き込まれる。

 物語の舞台となるのはカフカス山脈を北に臨む、グルジア(現:ジョージア)という国。モンゴルの圧倒的な勢力と対峙する女王ルスダンと、彼女を愛し続けたディミトリの悲恋、とまとめるのは簡単であるが、その展開たるやスケールが非常に大きい。そしてぼくが非常によいと思ったのが、ホラズムのジャラルッディーンという英雄の描き方である。史実通りなのかはわからないが彼が敵(グルジアキリスト教国なのでイスラム勢力とは事実上敵対関係にある)ながら非常に魅力ある描き方をしており、その生き生きとした筆致がとても印象的であった。

 ちなむと歴史小説というのはぼくの中ではジャンル不利で高評点につながりにくいのであるが、この作品は破格の70点超えを果たしている。だが、ここにまとめられているということはつまりそういうことなのだ。激戦シーズンはつらい。

 

「さびしがりやな灯台の話」著:そらとぶさかな(月刊さかな)

 空アンソロに原稿を寄稿しているひとの中に、なんとも特徴的な名前の(お前が言うな感あるが)ひとがいて、どんな物語を書くのか非常に気になって買ってみた。そのものズバリ、さびしがりやな灯台についての話なのだが、灯台とそれ以外の生物ならびに無生物とのやりとりがとてもユーモラス。短いおはなしの中に素敵なファンタジーが詰まっていた。空アンソロの作品も読んでみたい。

 

「Maltreated Alice」著:本田そこ(そこそこ)

 そこ兄こと本田そこ氏の新刊である。そこ氏にしてはやや長めの作品となっているが、文章が非常に読みやすいせいかすらすらと読むことが出来、その世界観にもするりと入っていけるところが魅力である。最初は異能バトル系かと思いきや、ものごとが思った以上に日常寄りに展開されていき収束を迎える。そしてその後日談がなかなかに強烈。そこ氏らしさが存分に出ている作品といえる。

 70点の大台にとどくかという高評点であったが、あまぶんシーズンだからね、仕方ないね。

 

「THE CULT」著:神坂コギト(GARBS. from 友引撲滅委員会)

 見本誌試し読み会でついつい引き込まれてしまいついには最後まで読んでしまった作品。少女を信仰する、というカルト宗教について描かれている。これだけでも非常に強い「ごうがふかいな」を感じられると思うのだが、この作品はその引きもさることながら展開や構成もかなり緻密で、本当にともすると作品にどんどん引き込まれ気が付いたときには登場人物同様呆然自失の体たらくに陥ってしまう。非常になんというか麻薬的なところのある作品だった。

 

 今回はここまで。

 次回もたまってきたら纏めます。

狂気を纏った正気の沙汰でないと

 どうもかーびぃです。

 

 というわけで、尼崎文学だらけ~夏祭り~に参加してきました。

 全てが想像以上、どこまでもどこまでも深い、そして濃い2日間であった。

 

 前日、チェックインまで予想外に時間があったので、ホテルよりさきに尼崎へ向かった。それが功を奏した。会場は見本誌読書会が開かれており、既にある程度セッティングがなされていた。

 それぞれの頒布物が並んでいる中、ぼくはあらかじめ読みたいと思ったものをリストアップしていたので、その中で読めるものに関してはすべて概要を押さえて買うかどうかを決めた。ちなみにその中で1つだけすべて読んでしまい点数もつけてしまったのだがそれについては無事買いましたのでご安心を。なんだそりゃ。

 しかし、見本誌に出すくらいなのだから、当たり前ながら圧倒的にレベルが高い。もはや高杉晋作とか言っている場合ではない。読むもの読むもの「買わなきゃ(使命感)」みたいなのが出てしまい、結局リストアップしたものから削ることはほとんどできなかった。仕方がない。

 前日設営は、こまかいところを当日決めることにして、全体のコンセプトを考えるようにした。あまぶんでぼくが考えたコンセプト、それは「狂気」である。それもわかりやすい、中二病的なものではなく、日常の中に潜んでいる、ちょっとこの人何言ってんのみたいな感じの方面の狂気である。この狂気は創作する人間には当たり前のように存在しているものであるとぼくは確信しており、それこそが「ごうがふかいな」の源であるということも研究により明らかになってきているところだ。

 とまあ戯言はさておくとして、全体的に静かで図書館を思わせるなんともしがたい雰囲気だった。ありゃ同人界隈にたまーにいる声のでかい(調整が苦手そうな)人とかにはちょっときついだろうなあ、とか無用なことをすごくかんがえた。

 事前に参加者のツイッターアカウント等は把握しており、気になる人とは交流を図っていたこともあり、この時点でも結構挨拶したりされたりするようなことがあった。今までにはない不思議な光景でもある。

 だらけブースはこの時点ではさして出来上がっておらず、当日何が来るんだろうな、と思いながらぼくはホテルのチェックインをするために早めに尼崎を出た。

 

 関係ない話だが、大阪の道頓堀はすごい。さすがは食い倒れの街というだけのことはある。次から次へとおいしそうな店が立ち並んでいて、まるで新宿と渋谷と新橋がいっぺんに並んでいるかのような錯覚を覚えた。

 また、今回宿をとったのは新大阪駅から御堂筋線で一駅となりの東三国というところだったのだが、この御堂筋線というのがなかなかに使い勝手がよく、新大阪、梅田、なんばを一本でいくことができる優れものなので、今後も御堂筋線沿いに宿をとりたいなと思った。なんなら動物園前から新世界・通天閣、そして飛田新地ですら簡単に(?)行くことが出来る。文字通り、大阪の大動脈なのだろうと思った。

 閑話休題

 

 当日、全然書きあがらない原稿と暇つぶしに買ったスティーヴン・キングの「スタンドバイミー」(かの有名な、ポケモンで主人公の家のテレビに映っているやつがその映画版であるといわれている)を読みつつ、また朝飯に買った牛乳が実は飲むヨーグルトであったことに辟易しつつ(しかもよく見ると賞味期限が切れていた。大阪の某有名ディスカウントショップの洗礼である)、会場に向かった。

 会場にはすでに大勢の人が準備していて、そのなかにはおそらく見知った顔が多いのだが、なにしろぼくは人の顔を覚えるのが苦手なうえに美人な女性となると本当に覚えるところがない(美人というのはえてして顔に特徴がないからである)のでまったく本当に全然知らない人ばっかりだなあ、とか思ってブースに行った。よくよく考えればそれもそのはず、ネットで見慣れてはいても今回が初対面の人は非常に多い。顔を見ていないのだからわかるはずがない。かーびぃぬかったな。

 隣の人が全然来る気配も見せないことに若干焦りつつ、反対側の隣はなんと以前からこのブログでもいろいろ取り上げている本田そこ氏のブースだったので簡単に挨拶。にゃんしー氏の開会のおことばも早々にぼくはブースをほったらかして委託コーナーへ。こうして無事「斜陽の国のルスダン」その他数冊のレア同人誌をゲットしたのであった。慈悲?そんなものはない。球体の生物なんだぞこっちは。

 というわけでしょっぱなからブースを空けていたわけだが、今回は空席札にかーびぃダッシュボタンを取り付けたので全然大丈夫だったんです!!!!!まあ押されてませんけど!!!!!!!!

 このペースで事細かに述べているとそれだけで大変な量になってしまうのでちょこちょこ端折っていこ。

 黒髪ロング一重まぶた微乳お嬢様系女子がうちのブースに来たよ。やばかった。三度見くらいした。ピロシキを片手に握りしめて思いっきり口を開けてしまった。たぶんそれで引いちゃったんだろうなあ。

 だらけブースは本当に個性的で、いろいろな企画やら展示やらをやっていた。オカワダさんのように全体をアーティスティックにきめていくものもあれば、なにやらテントのなかで妖しいことをしている人たちもいたし、アマガサキモドキからの脱出ゲーム(?)のようなものも開催されていた。あと電車がずっとぐるぐる回っているだけのブースとかもあって非常になんというかもうこれが狂気の祭典か!って思いました。

 売り上げとかも信じられないくらいの規模だったんですけど、個人的には今まで会ったことがなかったりこちらが知っていても向こうに知られてないだろうなあという人に新刊や一押しの頒布物をとってもらえたこと、あと裏ベストという名のクソ短編集「こんにゃくの角で戦う大統領」が完配したことがとても大きい。

 懇親会では、今田ずんばあらず氏や本田そこ氏と今後の即売会ではどうやって自分を売り込んでいけばいいんすかねえ、みたいなことを熱く語ったりなんかしたりした。このお二方と共通するのかどうかわからないが、ぼくは流浪の民である。本拠地となる即売会を持たない。しいて言えばそれは文フリ東京ということになるのだが、本拠地というほど愛着はない。ぼくはそういうものが欲しいとずっと思っていた。

 そして、その理想郷に最も近いと思ったのが、この「尼崎文学だらけ」であるなと思った次第である。このイベントは、頒布物に対する取扱いひとつをとってみても、サークル参加者や委託参加者、そして一般参加者に対してきめ細やかな配慮がなされており、それは主宰であるにゃんしー氏、共催である泉氏の手腕と熱意によるものであろうことは容易に推察することが出来る。運営のみなさんの多大なる尽力によって、ぼくらは非常にいい形で、頒布物を無事必要とされる方々に届けることが出来た。

 この頒布物を必要とされる方々に届けるというのは一見シンプルなようでいて非常に難しい。商業の世界と違いこの同人創作界隈というのは流通を自らの手で行う必要性が生じている。そこをいかにカバーするかが即売会運営の頭を悩ませている部分であろうことは想像できるだろう。

 そんなこんなで、ぼくは30冊も買ってきてしまった。総額は知らない。知ったところでどうしようもない。おそらく売り上げより多いのではないかと思う。

 この雰囲気を大事にしながらまた、新しいものを作っていきたいと、創作同人界にいるものとして強く思った。

 

 以上です。

 さっそくあまぶんシーズンが始まっているので、次の記事で選外まとめその1をやります。