かーびぃのメモ帳

球体の生物が日々感じたことをつぶやくよ!

「みんなのごうがふかいな展」について

 どうも、かーびぃ氏ことひざのうらはやおです。

 

 今回の記事は、第6回Text-Revolutionsの当日企画として公認されたことを受けて、「みんなのごうがふかいな展」についての概要を書くものです。ということで、他の記事とは異なり、改まった調子なのもこのためです。

 

 ということで、改めましてこんにちは。ごうがふかいなを探究しているひざのうらはやおと申します。創作歴はこの前丸10年を迎えました。このスタイルで同人活動を始めてからもう間もなく5年になります。

 それはともかく、「みんなのごうがふかいな展」についての概要を説明します。

 

目的:創作者たちの「ごうがふかいな」をみんなで楽しむ

 これにつきます。参加者はこの目的を第一でお願いします。ちなみに「ごうがふかいな」は「業が深い」とは別物です。「きのこの山」と「きのこ」くらい違います。

 「ごうがふかいな」の定義というものは非常にあいまいですが、ある程度の統一性を持たせるためにあえて言葉を開くとするなら、「物語がそう転ばざるを得なくなってしまう状況が積もりに積もることによって主人公あるいは登場人物並びに何らかの主体が自身の意思にかかわらず物語の成り行き上一定の行動をせざるを得なくなるなどといった、一種の環境による行動の拘束性」とでもいうべきものです。「業が深い」と似て非なるもの、というのはそういう部分にあります。これは物語単体のみならず、物語を出すタイミングや物語を紡いだことによる創作者本人についての多層化した視点においても成立します。

 というのはあくまでぼくの定義ですので、みなさんはみなさんの「ごうがふかいな」を自分自身で考えていただければ、そして出来れば表現していただければと思います。

 

頒布サークル参加条件

 ・第6回Text-Revolutions」に直参もしくはミニブースで参加していること

  (今回委託は申し訳ありませんが対象外となります)

 ・サークル広報用のTwtterアカウントを所持していること

  (サークル名義のものでなくても結構です。ぼくと連絡がとれるものであればOKです)

 ・文芸作品を2部以上頒布できる準備があること

  (理由は後述します)

 ・指定された頒布物に対して割引や献本などをする用意ができること

  (上記と同じ理由なので後述します)

 ・指定された頒布物に対し、このブログで紹介をしてもかまわないこと

  (ごうがふかいな展での頒布物はブログで紹介することがあります)

 ・数字が読めること

  (絶対条件です。日本語は読めなくてもなんとかなります)

 

頒布サークル参加要項

 1:参加を希望するサークルは、「みんなのごうがふかいな展」主催事務局「(株)ごうがふかいなホールディングス」(以下、「事務局」とする)に対し、指定期日までに参加の意思を所定の連絡方法によって表明できる。

 2:参加を希望するサークルは、参加の意思を表明する際に、頒布物および頒布予定物の中から、「ごうがふかいな」と思われるものを1つだけ指定する。(以下、この指定物を「GF指定物」とする)

 3:参加を希望するサークルは、GF指定物について、そのタイトル、著者、体裁、頒布予定部数等の詳細を事務局に通知する。この通知を事務局が受理し承認した時点でサークルの参加が確定する。(以下、「参加サークル」とする)

 4:企画当日、事務局は参加サークルに、頒布予定部数と同数の「ごうがふかいな券(参加サークル発行)」と、GF指定物の頒布価格の2倍の金額と同額分の「ごうがふかいな券(事務局発行)」を受け取り、その対価として参加サークルはGF指定物を1部事務局に献本する。したがって、当日はGF指定物を2部以上持参する必要がある。

 5:参加サークルは企画当日にGF指定物を頒布する際に「ごうがふかいな券(参加サークル発行)」を1枚配布する。

 6:「ごうがふかいな券(参加サークル発行)」および「ごうがふかいな券(事務局発行)」は、参加各サークルおよび事務局においてGF指定物の頒布価格に対し1枚につき100円の対価を得るものとする。ただし、「ごうがふかいな券(参加サークル発行)」については、同じサークルで発行したものの頒布に対しては使用できないものとする。(つまり、サークルAで発行された「ごうがふかいな券」は、サークルBでは使用できるが、サークルAで再度使用することはできない、という意味)

 7:「ごうがふかいな券」は一定数を事務局に持参することで景品を獲得するための抽選を行うことができる。

 

 現状での決定事項は以上です。変更については、逐一記事の追加等で対応します。

 

サークル参加に関する連絡先(質問等も)

 メール:cid-and-stilzkin(っ´・_・`)っhotmail.co.jp(かーびぃ氏の部分を@に)

 Twitter:@hizanourahayao

 これらのうちのどちらかで参加表明および頒布物の指定を行うことができます。

 なお、質問に関しても上記連絡先で受け付けます。

 

サークル参加申し込み期日

 9月20日(水)23:59受信分まで

 

よくありそうな質問

Q:「ごうがふかいな券(参加サークル発行)」と「ごうがふかいな券(事務局発行)」は何が違うの?

A:平たく言うと使えないサークルがあるかどうかです。事務局発行はすべてのサークルに対して使用が可能ですが、参加サークルが発行したものに関しては当該サークルの頒布物には使用できません。企画当日までに参加サークルリストを作成、参加サークルには整理番号を付与して、「ごうがふかいな券」にも発行番号をひとつひとつ付与する予定です。

 

Q:テキレボで出す新刊を「ごうがふかいな」に指定したい。でも、もしかしたら完成しないかもしれないし、もし完成しなかったらどうなるの?

A:ご安心ください。新刊、もしくは未完成のものを指定した場合はその旨をご記入の上、落とした際の代替となる頒布物を指定していただきます。無事刊行できた場合はその新刊が、落とした場合は代替となる頒布物が指定頒布物となります。

 

Q:参加サークルを知りたい!

A:申し込み期間が終了した後、サークルリストについてはできるだけ早く公開したいと思います。お楽しみに。

 

Q:どれが「ごうがふかいな」か決められない!

A:自分の感覚を信じてください。どうしてもだめならかーびぃ氏に相談してみよう。

 

Q:抽選って何するの?サークル賞とか持っていかなくていいの?

A:福引です。賞品はこちらで用意します。

悔しさをばねにできる人間だったらとっくのむかしに月面に着陸してるはずでしょ

 どうもかーびぃです。

 

 

 Bump of Chickenの名曲に「ダンデライオン」という曲がある。起承転結がしっかりしててオチまでよくできている、なんというかちょっと落語のような歌詞で、というかバンプ全体にそれは言えることだけれども、強い構成力がある曲ってやっぱり安定していてたまに聞きたくなるのだ。

 

「初期微動継続時間」著:ジンボー・キンジ(一人の会)

(通読性:22、宇宙感:17、残響度:17、嗜好:6、闇度:A、合計:69点)

 はじめ、全く興味がなく、なんだか大きな本だ、と思っていたのだけれど、ブースにいた(おそらくこの本を書いた本人と思われる)がとても自信たっぷりだったのがどことなくその自信作ぶりを表していたのと、そこまで言うのならと思って手に取ってみたのだが、まさかこれほどまでガチガチに固められた短編が、8本も埋められていたとはといった形だ。落語をずいぶん嗜んでいるのか、落語を主なバックボーンにして、その型で話を展開しており、非常に安定感があり構成力も高い、技巧的な作品が、それぞれの色を纏って煌びやかに展開していくさまがすばらしいと思った。これだけ安定して、しかも様々なジャンルを横断したうえで、落語的なフォーマットに押し固めて小説化しているというのは生半可な努力と覚悟で出来はしない。それは正真正銘武術の訓練と全く同等のものであるとぼくは思っている。

 個人的に好きなのが、SFチックな「飛翔!」と、シュールレアリスム的夢幻想物語風バイオレンス小説「レッドアイ・イン・ザ・バー」で、この2作はこの短編集の中でもとびぬけているように思われる。「飛翔!」のオチはやはり落語チックで、どこかそれが星新一を彷彿とさせるが、そこに至るまでの状況描写がとても細かく、また視線誘導が自然で、このあたりの基礎力が非常に高いのがなんともこう、同じ書き手として悔しい。非常に悔しい。

 「レッドアイ・イン・ザ・バー」は、端的に言ってめっちゃくちゃ面白い。たぶん作者も面白いほうを優先したのだろうなという感じがものすごく伝わってきた。限りなくジャズに近いロックみたいなカオス空間が延々と続いていて、登場人物がどんどんぶっ壊れていくのが愉快でしかたなかった。しかしコントのようなわちゃわちゃしっちゃかめっちゃかにするのではなくて、ただただ淡々と、狂ったように一定のビートを刻みながら演奏をやめないバンドのような強い軸があって、それが物語全体に締まりを作っているのがわかった。これはすごい。本当にすごい。

 あと、おそらく飛田新地とあいりん地区、もしくはその周辺のいずれかをモデルにした蓮華町シリーズも面白かった。階層化され、隔絶された社会で、そこに取り残された人間がどのような言葉を放つのか、どのように行動するのかが、ある種の希望をもって描かれているようにぼくには感じられた。続きというか、別の話も読んでみたい。

 

 というわけで、文フリ岩手は掘り出しものがとても多かった。今まで読ませていただいたサークルはもとより、ここでの独特な出会いというのがかなりあったように思う。

 次はおそらく尼崎文学だらけ、通称あまぶんである。参加者はいずれも名前だけは聞いたことのある強者ぞろいで、ぼくなんかが参加してよいのだろうか、などと今更になって思うのだが、そこはそれとしてどうにかするしかない。今シーズンもふたを開ければかなり高度な戦いであったが、次シーズンはそれ以上の接戦が予想されることをぼくも期待したい。

非日常を排しきった先に存在するのは果たして本当に正真正銘まごうことなき日常そのものなのか

 どうもかーびぃです。さっきのでだいぶ精神力を消費したがまだまだやるぞ。やるといったらやるんだ。かーびぃ氏はたまに強情になる。

 

 ぼくの敬愛する川瀬智子氏がボーカルを務めるプロジェクト「Tommy heavenly6」の曲に「2Bfree」という曲がある。不満や柵に拘束されながら、自由を追い求める歌詞、そして徐々に自分はもともと自由であったことを思い出す、という動きのある詞なのだが、それが重めのビートをこのバンド特有のダークサイド女子力でコーティングされたポップなのか何なのかもはやわからないサウンドへと書き換えられていく。ハーレイクインのコスしてる女子大生とかが歌うとはまるんじゃないか。

 

「床に散らばるチョコレート」著:カカロットおじさん(オミカワークス)

(通読性:20、宇宙感:19、残響度:18、嗜好:5、闇度:A 合計:69点)

 なんかもう、全体的に「ずるい」という言葉しか出てこないんですよこの本。まず文フリ初登場って書いてあって、それに気になっていくじゃないですか、でも当然この本しかないわけ。なるほどなあって思っておもむろにもらっていくじゃないですか、そして最初の話読むでしょ、「ああ、なるほどそういう感じ」ってうなずくじゃないですか、で次読むでしょ、「パターン見えてきたな」ってなるんですよ。

 この次の3、4本目の話がすごすぎて「ファッ!!?!?!??!?」ってなるんですよこれ。最初の2つも、決して完成度が低いわけじゃない。でも雰囲気をかたどっているだけでそこまでこう、突き刺さる感じはなかったんです。ところがどっこいですよ。3話目の、最初2つとそう大して変わらないテンションからの、主人公のひねくれた叫びがこだまするまでのこの、自然な流れとその爆発がすごすぎて。そこまでもっていくのが自然すぎるのと、オチへの持っていきかた、その隙が全くない。うわあなんかすごいの読んじゃったなあってなるでしょ。4話目、この話のうまさがそれのはるか上をいくというか、完全にプロットと本文を計算しつくしてるんじゃねえのかってレベルでどこの文なにひとつとっても無駄も隙もないっていう。ジャブ、ジャブ、ストレートからのバズーカ砲ですよこれ。ボクシングにそれ持ち込んだらいかんでしょって。素朴な装丁から思いもよらない小説が。タイトルが75で買うってなったあたりでもう罠は完全に仕掛けられてたんですよこれ。これしかも終始ローテンションで、3話目の爆発も含めて淡々としているのもなかなかずるいな。

 あと著者名が「カカロットおじさん」なのもずるいしツイッターアカウントとか全くないのもずるい。ぼくはこの感想をここに掲示するだけになってしまう。本人に間接的に届ける方法がなくなってしまっているんですよ。

 

 文フリ岩手、これもなんですけど、1位もようは全然期待していなかった番狂わせもので、やっぱり東北はすげえんだなって(語彙力)。

 なお、今回、1位と2位は同率なのですが、こちらのほうが嗜好点が低かったので暫定2位として取り扱いました。

 

 次、1位の紹介です。

概念上のミサイルは他者の想像上の範疇では簡単に迎撃されうる

 どうもかーびぃです。我ながらこの記事を書くのは非常に気が重い。

 

 詩というものは難しい。僕がまともに知っている詩人は、谷川俊太郎まどみちお草野心平中原中也、くらいなもので、しいて言うなら寺山修司大槻ケンヂもそこに入るっちゃ入るのかなあと思うくらいである。松永天馬には興味があるけれども決起曲手を伸ばせていない。

 その大槻ケンヂのバンドとして一世を風靡し、今なおサブカル界の一角に重鎮として腰をうずめているバンドが、ほかならぬ筋肉少女帯であり、ぼくは高校時代これに傾倒してバンドを組んでいた。このメモ帳を読んでいる教養レベルがおそろしく高い皆様がたであれば、「踊るダメ人間」や「日本印度化計画」を一度くらいは聞いたことがあるのではないだろうか。

 ちなみに、ぼくが一番好きなのは「月とテブクロ」で、どことなくプログレっぽい雰囲気と幻想的な歌詞、そしてオーケンにしては明確な棘のある言葉がなく、一見暗くないのだが、全体的に仄暗い雰囲気を漂わせているそんなところが好きなのかもしれない。

 

「徒花に祝砲」著:酒井衣芙紀(無芸)

(通読性:17、宇宙感:19、残響度:18、嗜好:8、闇度:A 合計:68点)

 ということで、テキレボ5シーズンに続き、今シーズンも3位となった酒井氏の最新詩集、というより音楽でいうところのシングル、つまりこれはひとつの非常に長い詩のみで構成されている。真っ赤な表紙にどことなくレトロな雰囲気の体裁が不吉さと攻撃性を連想させる。そして、ひとつの詩ではあるが、連ごとにかなり趣を変えて攻めてくるのがこの詩の不思議かつ面白いところで、最初の1連と最後の6連こそ、素に近いガドリングガンが飛び出すが、特に2連の、オーケンよろしくタイトロープを自在に操ってこちらの頸椎を的確に縛り上げてくる感じや、5連のよく磨かれた包丁で太ももの動脈を確実に切り裂いていく感じがもうなんというかとりあえず読者必殺みたいな感じで、あるベクトルにおいての女子力最大なんですよ。いやもうこれ、なんというか女子力としか言いようがないんだけど全然女子力じゃなくてなんらかの力なんだけどまあ強いて言うなら基底ベクトルがすごいずれた女子力みたいなそんなアレですアレ。もうだめだ語彙力が死んでる。いや、語彙力が死んでるのではなくて、的確な日本語が存在しないから勝手にフォーマットに詰め込んでるだけなんだよなあ。フォントが搭載されてなくて近似フォントで埋められてしまうあの悲しさですよ。

 これねーしかもねー各連のゆるやかなつながり、SNSみたいなゆるやかなつながりがあって、1連と6連で残りを挟み込んでいるんですよ。それがおそらくこの各連を詩としてではなく、連としてひとつの詩に紐づけた理由だと思うんですね(もしかすると因果的に逆の可能性もあるけど)。今まではどちらかというと攻めるにしてもこう、言い方をあえて下品にするとパワーワードを無数に展開していく感じがあったんですけど、それだけではないんですよと、もっといろいろ引き出しも武器もありますよと、それをやっぱり屈託のない笑顔で示されたような気がして、なんというかもう一種の敗北感すらあるんですけどこれはぼくの傲慢なんですよね。なんの確認だ。

 なにひとつ説明してないんですけど、これがぼくの今の全力です。本当に申し訳ない。もうあとはとにかく読んでくれとしかいいようがない。たしかに、これはひとつの詩をそのまま売り出せるレベルであると思う。

 

 あと、地味になんですけど、この酒井氏、今回で相楽愛花氏に続き2人目となる「同じ作者が2度以上記事化される」という実績を解除している(前回はテキレボ5シーズン首位)。まず今まで誰も達成していなかったというのが自分的には結構驚きで(前回の上位は必ず次のイベントで買ってくるからだ)、個人的には今回でようやく、といった感じが強い。

 という感じで、非常に難しい感想だったんですけど、よろしくご査収ください。

自動送信のメールに罵詈雑言で返信するジェネリック高齢者の鑑

 どうもかーびぃです。今日中にシーズンレースは終わらせたい。なんとなく。

 

 さて、改めて。

 文学フリマなどの同人誌即売会に出展する場合、ぼくはそこで手に入れたもの(いわゆる戦利品というものだ)について、とりあえず全てを読んだうえで、自分なりの感覚で評点をつけ、その上位3冊については記事にし、それ以外についてはひとことずつ(ひとこととは言ってない)まとめて記事にするという手法を、第23回文学フリマ東京から行っているのでかれこれ半年以上やっていて、イベント参加数的にも今回が折り返し地点かと思われる。なので、シーズンの感想を述べる前にここまでやってきた中での感想もここに記しておきたい。

 なお、評点のつけかたについては下記の記事にまとめてあるので、今回初めてシーズンの記事を読むという人や、そもそもお前はなにをやってるんだという人はぜひ読んでいただきたい。この原則に従って好き勝手に同人誌の感想を述べていくというのがある種のライフワークになっているということを伝えたいのと、あと、ここから先の文面はこの記事を読んでいないとおそらく意味が分からないと思われる。

 

houhounoteiyudetaro.hatenablog.com

 ここまで、23回文フリ東京、文フリ京都、テキレボ5、3回文フリ金沢、24回文フリ東京、2回文フリ岩手で6シーズンあったということになる。また、第25回文フリ東京シーズンから評点方法などを見直し新たな1年をスタートさせる方針であるので、ぼくのここまでの予定であれば、残ったシーズンは尼崎文学だらけ、文フリ大阪、テキレボ6、そしてここにもしかすると文フリ福岡が入る可能性がある。多くとも4シーズン、つまり今年は10シーズン前後となる。なんかもっとあったような気がするんだけどなあ、気のせいかな。

 登録されたアイテムは57冊、うちDNR(期間内に読了不能)と判断したものが3冊あるので54冊を読んだことになる。

 その平均評点は61.98点。平均でいうと各シーズン9冊が登録されていることになるので、平均点だと上位3冊には届かない。意外にも高いのは、先回の文フリ東京と今回の文フリ岩手での平均評点の大幅な上昇のためと思われる。しかしながら、前半では60点以上ともなれば上位はほぼ確実だった。最初のシーズンでは59点の作品が3位としてランクインしている。

 なお、ここまでの中での上位3冊は、下記の通り。

 1位 「ファントム・パラノイア」著:咲祈(モラトリアムシェルタ)

 (23回文フリ東京シーズン首位 総合評点75点)

 2位 「永遠まで、あと5秒」著:古月玲(サテライト!)

 (24回文フリ東京シーズン首位 総合評点73点)

 3位タイ 「内なるガパオの囁きを聞け」著:相楽愛花(素敵な地獄)

 (24回文フリ東京シーズン2位 総合評点72点)

 3位タイ 「最深の心悸の宇宙の続き」著:酒井衣芙紀(無芸)

 (テキレボ5シーズン首位 総合評点72点)

 いずれも70点を超えている。体感として70点を超えるものはやはりまれであるが、特に最初のシーズンで「不倒点として君臨し続けるであろう」と述べた咲祈氏の「ファントム・パラノイア」がぼくに与えた衝撃は相当だったようで、実質評点が(正当に)インフレをはじめ、高評点の作品が多く出ることになっても、肉迫はされているものの未だに歴代1位の座に君臨し続けている。これは本当にすごいことであるし、だからこそぼくは彼女を勝手に師匠と呼んでいる。師匠がどう思っていようがそれはそれ、ぼくの勝手だ。

 それはともかく、ツイッター上での評判や新刊情報を見る限り、文フリ大阪やあまぶん、またテキレボ6に至っては「みんなのごうがふかいな展」を行う関係で特別シーズンもあるため、なかなか高密度の激戦が予想される。もしかすると、75点を超えるものがひょっとしたら出てくるかもしれないし、ひょっとすると誰も到達していない80点台に突入するものも中にはあるかもしれない。そういった発見のよろこびをつぶさないようにしていきたいと思っている。

 

 さて、気を取り直して、文フリ岩手シーズン、始まります。

 この記事は上位3冊に入らず、惜しくも選外となってしまったみなさんについて、一言ずつ感想を書いていくものです。

 

「由美子抄」著:吉田昌寛・篠崎由美子(死海文書技術研究所)

 かーびぃ氏ありがちの「表紙に描いてある18禁のマークを見落として買っちゃう」やつ、今回もこのミスを犯してえらい目にあった。篠崎由美子という架空の(?)女性を視点として、彼女と文字通り交わってきた男たちのドクズエピソードをこれでもかというくらいに綴った作品。もうエグい。ひたすらエグい上にこの由美子の設定自体がなかなかにエグい。どれくらいエグいかというと、リスカしながら相手の血を啜ってセックスする、というエピソードが序盤にあるんですけどそのあとに本人が「アレでエグいと思ってるならもう読まないほうがいい」って注意書きしてて、事実その通りだったというレベル。「ごうがふかいな」どころではなく普通に業が深いです。

 思うんですけどかーびぃ氏この手の性描写たぶん苦手。この前の18禁のやつでも思ったんですけど。どこかでファンタジー性があるやつなら大丈夫なのかもしれない。

 とにかく業が深いのでお勧めしたい気持ちは半端じゃないんですがあまりにもエグいのでそういうのが好きな人以外にはちょっと勧めにくい。

 ちなみに隣のブースだった。一見普通の人なんだけど独特の雰囲気があったし新刊のコピ本はかなりはけてたから、やっぱりキャリアが違うんだろうな、などと。

 

「世界すぐ滅ぶ」著:笠鷺リョーノ(金魚大明神)

 ぼくはずっとこの人の話がしたかったんだ。というかですね、隣がプロ(セミプロ?少なくともあれは完全なアマチュアではない感じだった)のめちゃくちゃ作り込まれていたブースなのにもかかわらず、すごく、すごくすごく圧倒的な「ごうがふかいな」を醸し出していたこのブースを見つけた時は運命かなにかか、と思った。通り過ぎようとして思わず五度見くらいして戻ってきましたからね。興奮しすぎて何話したか全然覚えてないんですけど、たぶんそんなに変なことはしゃべってないと思うんです。まあそこはどうでもいい。

 小説はこう、全体的にシュールレアリスムっぽい感じで、延々と非現実と現実とが行ったり来たり帰ってこなかったりみたいな、脳内空間をクスコかなんかでむりやり拡張させられるような読後感が特徴。あと何本か完全に「かーびぃ氏がウォッカを一気飲みしてから作ったやつかな????」みたいなレベルで既視感がすごいものがあって「この人なにものだ」ってなった(語彙力)。

 レトリックとセンテンスの使い方、その手癖なんだろうなあ、なんとなくこう共鳴するものがあるというか、この人の文章、不思議に不思議すぎて不思議(語彙力)。

 なんだろう、こう、「サブカルは死ねばいい」とか言いながらヴィレッジヴァンガードで茶髪キノコ頭の女子めがけてアイスピックを振り下ろしてそうな感じです。たぶん違うけど。

 今シーズン中ベスト「ごうがふかいな」だと思います。

 

「やってられっかこんな人生(もの)」著:笠鷺リョーノ(金魚大明神)

 さっきの「世界すぐ滅ぶ」買うじゃん?「ごうがふかいな」じゃん?興奮するじゃん?そりゃもう一回買いに行くよね。ということでこっちが実は新刊。正直な話「世界すぐ滅ぶ」ほど期待はしていなかった。なぜなら表紙からしてだいぶ「ごうがふかいな」が薄いと感じたから。だから最初手に取らなかったわけで。ただし尖り具合はこっちのほうが上かなと。特に主成分である「悪夢」にはこの人特有の無理やり空間を拡張させられる感じがすごい。一気に読むとかなり疲れます。ただたぶん自信作なんだろうなと。そんな感じがします。

 あと薄々感づいてたんですけど、ぼくと昔の生活圏被ってると思うんですよねこの人。既視感がすごいのそこらへんだ、って感じました。

 どっちかは3位以内になる予定だったんですけど、別で引いたものがあまりにもあんまりだったので選外に押し出されてしまっている。もっと読みたい。

 言葉選びだと「世界すぐ滅ぶ」なんですけど、小説全体としてはこっちのほうが若干よいかなと客観的には思います。ただぼくは「世界すぐ滅ぶ」が圧倒的に好きです。

 たまに球体の生物になってる夢みたことあると思うんです。

 

「彼女たちの棺」著:月ノ音姫瑠(メンタルティック→ワルツ★)

 文フリ岩手の2大ごうがふかいな、そのもう片方はこの人だと思うんです。会場設営しているときから「バリッバリのロリータさんおる」と思って見てたんですけど、実際にブースで話をしているときの立ち居振る舞いから頒布されている詩集まですべてがもう完成されてて、読み終わったときには思わず「なんということだ」と声を出してしまったような気がした。隣の死海文書さんなんも言ってなかった(というか全く同じ詩集読んでてそっちにビビった)からたぶん声には出してなかった。はず。

 この人の完成されている要素は、単に詩集を読んだだけでは伝わらないし、かといってたぶん数分話をしただけでも伝わってこなくて、つまりすべてをすべて見通して初めてその完成され具合に気づくという、というかだからつまりぼくも本当はこの人の完成形を見ていないわけだけれど、完成形たぶんすごいことになると思うんです。

 詩集としては装丁こそシンプルなんですけど、動きや内部の詩のリンクがすさまじいことになっていて、じわじわと効いていく。そりゃどかっとした言葉もあるんですけど、この人はどちらかというと構成がうまいのかなと思う。全体を俯瞰したときに初めてぞわぞわっと何か得体のしれないものが走っていく感じ。言葉にできない、プラスでもマイナスでもないやつ。だから「ごうがふかいな」なんです。

 どうやら懇親会にいらしていた模様。本当に懇親会に出られなかったことが悔やまれる。

 

「翼の生えたオランウータン #とは」著:今田ずんばあらず(ドジョウ街道宿場町)

 ということで、今回もずんばニキこと今田ずんばあらず氏の単行本を購入。東北であることもあってか、イリエは相当な頒布数を記録したらしく、相当忙しそうだった。

 本としては丸山則夫という一人の男をサブキャラクターとした、一見つながっているようでいてつながっている短編をまとめたもの。どうも氏が大学生時代に所属サークルに寄稿したものを集めたようだ。全体的に、非常に書き慣れているな、という感じがあった。おそらく大学に入る前から文芸部などでこの手の小説を書いていたのだろう。その点ぼくとはだいぶ異なっている。キャリアというか、書いている本数が違う感じがした。描写の過不足がほとんどなく、構成もかきやすいシンプルな形を維持しているのがその証拠で、このキャリアがあってこそのイリエなのだなと思った。ちなみに題名はなんというかSNSを使っていないとなんのことかよくわからないハッシュタグ付きのアレなんですけど、つまるところこの丸山則夫のことだったっていう。そういうところも含めて極めてシンプルな短編集。それだけにイリエではあまり出してこなかった今田氏本来の書き手としての癖が出ているように感じた。

 残部僅少らしいですよ奥さん。

 

 以上。

 長くなってしまったが、次の記事からが上位です。