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かーびぃのメモ帳

球体の生物が日々感じたことをつぶやくよ!

墓標に建てられるものは無機物と決まっているわけではないが、無機物にせざるを得ないことはわりかしある

批評等

 どうもかーびぃです。ぼくもたまにはガンガンいこうぜで戦うこともある。

 

 ということで、第2位について、書いていこうと思う。

 好きなバンドだから何度も取り上げてしまって恐縮なのだが、9mm Parabellum Bulletに「黒い森の旅人」という曲がある。個人的には9ミリの中でも名曲中の名曲で、普段の曲とは別ベクトルで幻想的な雰囲気を醸し出している不思議な曲なのだが、それは歌詞によるところと9ミリ特有の強く長い泣きメロがなく構成がシンプルなのも影響していると思う。

 

「ハカモリ」著:七歩(酔庫堂)

(評点 通読性:17、宇宙感:17、残響度:19、嗜好:7、闇度:B 合計65点)

 たまたまブースが隣になった方の新刊がこちらである。短編にほど近い分量の中編が文庫本に収められている。ブースには本だけでなく硝子のアクセサリーのようなものやこの本のようながっつりとしたファンタジー以外にもライトファンタジーやツイノベなども手掛けられているようで、創作物の幅がかなり手広いながらも、ひとつひとつに強いこだわりを感じられるところが美しいと思った。ぼくがマクラの曲を選んだのはそういった部分からである。

 小説はハイファンタジー気味の世界観で語られる少女とその祖母、そしてシディーと呼ばれるいわゆる亜人種の少女との物語である。ある日、「墓森」で少女ステラはシディーの少女と出会う。ステラは彼女を祖母マーラと暮らしている家に連れ帰る。マーラはシディーを見て驚嘆し、思わず「レイミー」と口走る。この序盤のストーリー展開の背景描写が非常に精彩で、「墓森」の匂い立つような腐葉土の香りや、鬱蒼とした異世界感、そしてそれに伴う幻想小説としての臨場感を際立たせることに成功しているといえる。この人のすごさは、情景描写と心理描写をシームレスにつなぎ合わせ、読み手にストレスにも似た心理的負荷をかけることなく自然に場面を展開し、かつ、登場人物の心情を克明に浮かび上がらせているところにある。このような芸当は一朝一夕でできるものではないことは、ワナビライターのみなさんならよくわかっているはずである。短くはないであろうキャリアとそれに伴う技術力、細部まで文字表現で塗りこめられた完成度の高い世界観、そして、それらを文庫60頁という決して多くはない分量の中で余すところなく、まんべんなくちりばめることのできるセンス。ぼくが知っている同人創作者の中で、これほどまでにバランスよく様々な要素を持っている人はいなかった。

 隣のブースは予想通りの「強者」だったのだ。

 

 そんな感じです。

 ちなみに、第1位は反対側の隣のブースの本だったりするのでお楽しみに。