読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

かーびぃのメモ帳

球体の生物が日々感じたことをつぶやくよ!

花言葉を知らなければ想いが伝わらない世界から脱出していまここにいる

 どうもかーびぃです。

 

 ぼくが最近注目している声優、中恵光城さんは歌手としても順調にキャリアを積み上げている逸材なのであるが、その曲の中に「レイル・ロマネスク」という曲がある。悠然と星空が広がりそうなオケに乗せて、中恵さんの安定感のある、甘みを帯びた凛とした声が歌詞と世界観を広げていく、とても彼女に似合う曲だ。どことなくノスタルジックな雰囲気が漂う中、芯の強い歌詞が推進力となっていくこの曲は、僕の中では同人時代の曲以上に彼女の代表作と言える代物ではないかと考えている。

 まあ、いうて「恋歌宣誓」の色気とかわいらしさのダブルパンチにはかなわないところあるんですけど。

 

「ウィンダーメアの座標」著:灰野蜜(イン・ビトロ・ガーデン)

(通読性:18、宇宙感:17、残響度:18、嗜好:6、闇度:C 合計:62点)

 手製本で丁寧に作られ、小説自体も非常に丁寧であると感じられた作品。主人公と野枝美という幼馴染の少女が、離れ離れになる前に星を見に行く、という話なのだが、このストーリーラインもシンプルでいてとても綺麗だし、そもそもこの主人公と野枝美の関係性や、野枝美という中学生の少女が持っている特有の美しさというものを本当に、丁寧に丁寧に、それこそ途方もない思考と作業の果てに描出している。そうでなければこれほどまでの密度をもって彼らが見た景色をこちら側に想起させることは不可能である。ともすれば陳腐な青春の入り口のような、ただの甘酸っぱさだけを残して終わってしまうような薄っぺらい物語になりがちな構図と進行でありながら、ぼくがこの作品にシーズン3位の高評点をつけたのは、極限までに洗練に洗練を重ね、説明臭さを排除しつつふたりのキャラクターの陰影を浮かび上がらせ、関係性を浮かび上がらせ、生活を浮かび上がらせ、心理を浮かび上がらせている途方もない描写力にある。題して「超高画質小説」とでもいうべきだろうか。例え4Kのテレビが8Kになったところで、この小説のみずみずしさ、鮮やかさ、そしてたちのぼる臨場感にはかなわないのではないか。そして、それがなしえるのはテキストのみで構成されている小説だからこそではないか。そういった可能性をぼくに感じさせてくれた。

 どうも文フリ金沢はこの手の、一見地味なようでいて途方もない力を秘めたライターが、これまた地味なこだわりを秘めた本に潜んでいて、尖った個性や奥底に沈む闇ではなく、確かな、それこそ技術力ともいうべき力を、誇示することなく、淡々とそこにある、みたいなタイプが多いなと感じた。もちろん、既刊もかなりあったので、ぼくが偶然そういう本ばかり選んだというのもあるだろうが、それを含めても、強い個性へのアンチテーゼ的な、やはり金沢としての矜持というか、そういったものをまざまざと見せつけられたような気がする。

 

 次の首位となった本についても、同じような形で、派手さはないものの力がすごい、というタイプだ。