ひざのうらはやおのメモ帳

サイコパスクソメガネが祈る墓標みたいなやつ

境目のない世界に形のない人形がはまりこむ

 どうもかーびぃです。気味の悪いタイトル。

 

 ということで、なんだかよくわからないレポートを出してしまったので、気を取り直して文フリ大阪シーズン(もう1か月も前じゃん)の最初の選外まとめをしていきたいと思う。残りの本数的にはもう1本かけば収まると思うが、果たして。

 

 

「踊る電柱」著:らし(おとといあさって)

 電柱の形をした、摩訶不思議な小説。このシリーズがいくつもあるというのだから驚きだ。そして収められている掌編も体裁を象徴した電柱の話。小気味のいい落語のような書き味に、どこかあたたかみのあるらし氏の文体が光る。委託では絶対無理だよなこれ……と思ったら、なんとzine展(別府で行われる委託販売イベント)ではケースに入って頒布されるらしいよ!すごいな!

 

nana-Sea vol.1「星・海」」著:Up-trim07°(Up-trim07°)

 非常に豪華な装丁だ、と思って手に取ってみて、モチーフが気に入ったのでいただいてきたもの。合同誌として非常に気合が入っている造り。小説の分量や文体、その力から作者たちの強い意気込みと熱い想いが図らずも伝わってくる。これもひとつのごうがふかいなだろう。今後の展開が見逃せないサークルになりそう。

 

「スーパーはなえ」著:ホタテ・Nicola(海鮮丼)

 隣のサークルだったのでお隣枠でもらってきた。道行くひとたちと朗らかな会話をしていたのが非常に印象的だったのだが、作品もまさにそんな感じで、全体を通してドタバタギャグを軸とした連作短編集。あとがきにはリレー小説だと書かれていて本当にびっくりした。おそらく綿密に設定を調整したとしかおもえないくらい、作者の切り替わりが不明で、作者2名の息がぴったりなのが非常にうらやましい。どこにいたらそんなにぴったりな書き手が現れるんだ。

 ドタバタが好きな人におすすめ。

 

「海の夢」著:伴 美砂都(つばめ綺譚社)

 左手にメリケンサック、右手にアイスピックでおなじみ紺堂カヤ氏が主宰を務めるこのサークルのもうひとりのメインライターが伴美砂都氏である。紺堂氏がそんな物騒な装備かどうかはさておくとして、伴氏の文章はこの作品を読む限りでは紺堂氏とはだいぶ距離がある。じわじわと、しみこむような文体が印象的。読んでいくうちに、徐々に物語の世界が身体に浸透していくという感覚は、そういえばあまり見ない書き手ではないかと思う。紺堂氏が比較的インパクトと構成のテクで攻めていく印象だが、こちらはメリケンサックの逆であるところの毒の鞭である。掠めた瞬間から痺れるみたいな、そんな作品だ。

 

「四季彩 Vol3」著:春夏冬(春夏冬)

 テキレボでもおなじみ春夏冬(あきなし)だが、今回実は隣であった。前回の合同誌も合同誌としてはかなりのクオリティであったので、迷わず最新であるところのこちらを手に入れた。手に入れたのち間に2があることに気づいて、実はテキレボ6で手に入れたのでそれについてはまた今度。

 テーマが「魔法」であったのだが、ただ単にファンタジーをぶちこんでくるわけではなかったというか、おそらくみなさん自分の土俵でちゃんと魔法を使ってきているなあというのがなんとも玄人っぽい印象。テクニックの妙が光る作品が目立った。

 あと、個人的な好みで言うと前回同様、このサークルの代表である姫神雛稀氏の「イヴァンフォーレ理の七柱シリーズ」が一番面白かったというか、形成されている世界観の要素要素が非常にこちらのツボをついてくるし、前回よりも構成にわざとらしさが出ていて、ファンタジーとしての(ぼくが思うところの)王道を掴んでいる感じがして非常にぐっときた。いやあほんとねこういう世界観めっちゃ好きなんですよねえ、なんかこう緻密に人工的というか、明らかに人為的な振り分けがなされているにもかかわらずその仮想空間に住まわっている人々が確かに息づいている感じとか、あと多分ヘキが似ている気がするのはこう、人間の振り分けの仕方なんですよ。階級とか学塔とかの描写がなんかすごく、こう、よい(語彙力)。読んでみればわかるとしか言いようがない(記事上の敗北)のだが、これを読んで「よい」と思う人はぼくの書くファンタジーも多分「よい」と思うのではないか、と思うのである。

 

「WORLD ENDS」著:凬花ほか3名(サークル名不明)

 文字通り「世界の終わり」を題材にした掌編集。ほんとこれすごい、ごうがふかいなの塊ですよ。合同誌なのに70点を記録したものってほとんどないんですけど、これは文句なしで70点ジャストなんです。なのに奥付がなくてサークル情報がどこにもない!

 ただ検索してわかったことは、どうもこの人たち、某大学の文芸サークルのOBらしいんですよ。その文芸サークルは出展していたんだけどブースの雰囲気的にこれを出していそうな感じじゃないんですよねえ。なんというか、これ、誤解を恐れずに言うと、ぼくの古巣とすごく似た雰囲気が出ているんです。

 さらに言えばなんですけど、同じサークルのOBにとある人が軒を連ねているのを偶然見つけてしまって、なるほどなあ、と思ったわけです。

 せっかく見つけたのになあ。もう一回大阪行くしかないね、こりゃ。

 

「壬生キヨムトリビュートアンソロジー「権謀術数-おとしまえ-」」著:壬生キヨムほか15名(cieliste)

 これ、問題作。なぜかというと、ぼくは壬生キヨム作品をほとんど知らないわけです。でも名だたる皆さんがこの合同誌に参加しているというのと、店番をしていた(高梨)來さん(何を隠そうこの人も書いている)にお勧めされた衝動だったわけなんだけれども、熱意がすごい。熱意が。でもなんというか、この作品集についてあんまり語れないなあと思うのは、当該の壬生キヨム作品を読んでいないからだと思うんです。作品それそのもののクオリティとかは当然高いはずなんでしょうけど、肝心のコアをぼくが知らないせいでよくわからないことになっちゃってる。だから、この作品集を目いっぱい楽しむためにはまず壬生キヨムというひとりの(?)書き手を見据えることから始めなくちゃいけないんですけど、前回読んだときにものすげー難解すぎてホークスもびっくりな感じだったので未だに敷居が高くて。常々思うがぼくは読解力が低い。いや、低くないとは思うが高いはずはない。読解力が高ければもうちょっと難解で難しくていくらでも立体化できるような文章を書いているはずだ。かけていない。なぜなら構造を見据えられないからだ。

 ここに軒を連ねている人たちは、他の作家の著作に対するコメントも含めて非常に読解力の高いひとたちばかりであると思う。かれらは高い読解力を要する作品にも難なく飛び込むことが出来、その構造をはたと感じて表現することにたけている。そんな人たちの作品であるので、壬生キヨム作品を読む手助けになるかもしれない、などと今思った。どちらにしても壬生キヨム作品に再度アタックすべきだ、ということをこの本から学んだ。それから、この作品を再評価したいと思います。

 

 以上、選外7作品。

 残りは4+1(シリーズもの1巻のため評点化せず全体で評点)作品。暫定上位の作品も含めると7作品について書くことになるため、ちょうど折り返し地点だったようだ。

 おふろはいろ。