ひざのうらはやおのメモ帳

サイコパスクソメガネが祈る墓標みたいなやつ

どこにもない世界線を探して積み上げるだけの職業

 どうもおもちくんです。

 予想外に作業時間をとられていて、ろくにシーズンレースを進められなかった。が、ようやく書く気分になったので、つづきを書いていこうと思う。

 

 今や平成を代表する大人気バンドの一角となってしまったBUMP OF CHICKENの曲に「かさぶたぶたぶ」という曲がある。少年(?)のひざこぞうにできたかさぶたの視点から語られるユーモラスな描写と、だからこそのノスタルジックな雰囲気が小気味のよいサウンドに重ねられていく妙がきいていて、どうにも忘れられない曲である。

 

「いきとしいけるもの」著:今田ずんばあらず(ドジョウ街道宿場町)

文体:29 空間:31 (半客観分野:60)

感覚:30 GF:37 (主観分野:67)

闇度:0.444 レート:5.703(B)

総合:121.741(文フリ金沢4シーズン2位

 

 ということで、このメモ帳でもちょくちょく出てくるずんばニキこと今田ずんばあらず氏の作品が、特集記事ではなく純粋なシーズンレース上位として初めて記事化された。

 この作品集は、「モノ」が主人公となっている小説を集めたものである。それは宇宙ゴミだったり、石ころだったり、お道具箱のはさみだったりするわけであるが、どれもこれも、「モノ」に感情移入するような人間の視点ではなく、「モノ」そのものから語られているというのがキモであり、一貫しているポイントでもある。氏の作品集をはじめとした同人誌は、すべてが強固に一貫したコンセプトを貫いているところが非常に信頼できる。本当に「本」というものを深く考え、読まれるひとのことを第一に考えていると思う。彼の別の著作を読んでいても、そのエッセンスを強く感じる。

 また、この作品集は「過去からの脱却」ではわずかにのみ感じられた、氏の反骨精神というものを強く感じることが出来る。「イリエ」でも「過去からの脱却」でも見せることのなかった、ハードコアな存在感と自己主張が、この作品集では溢れんばかりに飛び出している。そういう意味でごうがふかいなであり、GF点は今シーズン2位の37点を記録している。

 ぼくは、同年代ということもあるが、テキレボ5で隣のブースの人間として出会ったときから、彼のことを同人活動上のライバルと考えて活動している。流麗に、器用に文体を変えながら、それでいて高いメッセージ性を保つ小説。頑ななまでに読み手のことを追求した装丁。イベント遠征の道すがらでは行商の旅と称して、フォロワーの方に自作を手売りしていくほどの営業力。全国各地の大小さまざまなイベントに出かけて、その告知を欠かさないまめさ。こんな同人屋の鑑みたいな人間をライバルとするのはいかがなものか、という意見はあるかもしれないが、これほどまでに全力である彼をライバルとすることで、ぼくは逆説的にこの世界にとどまり続け、踏ん張ることができるのではと考えた。そしてそれは今のところ成功している。彼がやれていることを、ぼくがやれないはずはない。やらないのならば何かしらの理由があって、そこがスタイルの差なのか経済力の差なのかそれ以外の要因によるものなのかを突き詰めていくことで、ぼく自身の問題に素早くフォーカスできる。そういった極めて合理的かつ利己的な理由で、ぼくはこれからも彼をライバルとして活動を続けるだろう。たとえその知名度や名声に天と地ほどの差ができたとしても、簡単にはライバルをやめないと思う。

 もっともそれはぼくにとって、というだけであって、彼にとってどうなのかは知らない。知りたいともさほど思わない。それは彼の勝手だし、彼をライバルとするのもぼくの勝手だからだ。

 

 なんだか半分くらいずんば論みたいになってしまったが、そんな感じである。

 次回は、このシーズン1位を記録した、プロの小説家としても活躍している方の短編集である。